第9話 パート・オブ・ユア・ワールド◆-2
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『──いふへっ、めね、よえごってぃ、いえのおぇがぁた!』
「な、なんだ!?こいつら!?」
聖女様の足元に、童話の小人のようなものがわらわらと集まって来たのは。
『いふへふん、むぐふてぐん、げふぃぐりぃ?』
それらと、当然のように会話する彼女。
『むぐふたぐん!』
『さふたぐん!』
『ぐふとのぐ!』
聖女様の周りで騒ぐ小人達。
『やふぁいおぐ』
彼女の口から出た言葉は、この前聞いた、お礼の言葉だった。
『げふね、めぐねす!』
『るるいえ、えいえ、すごってぇむ!』
小人達が一体何を言っているかは分からないが、彼女が笑っているから、悪い話では無さそうだが。
『げへぐる、いぇぐ、びぃぐふるぅふねふ』
振り返って俺にそう言う。
「いや、頼むから俺に分かる言葉で……」
『くな、がるぬ?』
小人の少女が、手に持った笛で俺を指す。
……恐らく誰か聞いているんだろうが……
『げふに──』
聖女様が何か言いかけたところで、殺到した小人達に俺の足元は包囲された。
『うくふむるに!のぐ!うくふむるに!』
執事風の服を着た小人が、バトンのようなもので俺の足をバシバシ叩く。
「痛っ!な、なんだ?!」
『いあ、えへい、はりるげと!』
払い退けた小人は俺をバトンで指す。
『げふ、はりる?』
それに問いかける緑色の炎。
『はりるね、ふんぐりょうめ』
剣呑な目つきで俺を睨む小人の少女。
『ふんぐりょうめ!』
『りょうめ!』
『ふんぐりょうめ!』
何かを復唱しながら、俺の服を引っ張ったり棒で叩いてくる。
あまり歓迎されていないようだ。
『えぷ、げふに、しょぐっふぇゆぇく、りふへぇ!』
『りふぇ!おぐのぐ!しょぐっ!』
「聖女様、こいつら何を言ってるんだ?」
「異端者は、言葉は、侵入者…地獄は、送る」
「敵じゃないって説明してくれよ」
「これは、面白い」
くつくつと笑う聖女様。
「……そうだ、聖女様。俺にも言葉を教えてくれないか?」
それから、俺は彼らの言葉を覚える事にした。
それさえ、分かれば、聖女様や小人達の言いたい事が理解できるようになれるかと、思っていた。
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