127話 脅威というより面倒臭いこと

脅威というより面倒臭いこと








「チンピラが増えたァ?」




『まあ、有体に言えばそういうことだねぇ』




無線機から聞こえる古保利さんの声。




『良くも悪くも、奴らの存在が抑止力になってたってことかな。いなくなってくれて清々してるけど、こんな弊害が出てくるとはねえ』




「ふむぅ・・・」




椅子にもたれ、腕を組む。




「わふ」




椅子の下でおとなしく伏せていたサクラが、こちらを見た。


この顔は・・・『散歩行きたい!』かな?




身振りで『もうちょっと待ってろ』的なことを伝えると、サクラは再び伏せの体勢に戻った。


・・・通じるとは思わなかったな、かしこい。




『というわけで、そっちの方も気を付けてね。詩谷は一応大丈夫だと思うけど、あっちにはこちらから一報入れとくからさ』




「ありがとうございます。ところで腕の方は大丈夫ですか?」




『もっかい同じ事したら切断かもって言われたけど、大丈夫。南雲流ラーニングしてないから治りは遅いけどね』




ウチの流派を変なパッシブスキル扱いしないでいただきたい!!




その後、しばし古保利さんと近況報告をし、通話を終了した。




「わふ!」




『今度こそお散歩ですね!?』みたいな顔をしたサクラが立ち上がる。




「おう、行くかサクラ」




「おん!わう!わうわう!!」




床で高速回転を始めたサクラに苦笑しつつ、リードを探すべく椅子から立った。




「・・・面倒臭いことにならなきゃいいけどなあ・・・いや、なるか」




溜息をつきながら、サクラに先導されるように部屋から出た。








昨日は役場から物資をありったけ搬出し、倉庫に運び込んだ。


子供たちも手伝ってくれたがいかんせん数が多く、終わる頃にはへとへとになってしまった。


すぐさま風呂に入り、泥のように眠って目覚めたら・・・朝一で御神楽から連絡があったというわけだ。




古保利さんが先程言っていた通り、御神楽周辺でチンピラ・・・まあ、あまり行儀のよろしくない生存者が増えているのだという。


もちろんこの世はゲームではないので、そこら辺からポップしたわけではない。


原因は『みらいの家』である。




やつらがいた頃は、小悪党的なのは息を潜めていたんだろう。


そりゃそうだ。


自分たちに属している人間以外をすべからく皆殺しにしようとしているカルト集団。


善人どころか、悪人だってそんなのには近付きたくもないだろう。




が、やつらはこの度めでたく俺達や御神楽の方々によって壊滅してしまった。




ある意味ゾンビよりヤバい奴らがいなくなったので、冬眠から覚めた動物のように活動を始めたって訳だ。


・・・ま、心配しすぎても仕方ないか。


『みらいの家』は曲がりなりにも統制が取れていたから危険な相手だったわけだし。


個々人の欲望を優先させる頭ゾンビ以下のチンピラなんかはだいぶ格下だもんな。




「だが、油断だけしないようにしにゃならんなあ」




「ゆだんー?」




「んお、何でもないぞ」




「ふうん」




俺の前を、サクラのリードを持って歩いていた葵ちゃんが振り向いた。


外にいる時にあんまり考え事をするもんじゃないな。


いないとは思うけど野良ゾンビが出てきたら大変だ。




「ソラくんもくればよかったのに、ねー」




「倉庫の屋根の方が好きだとさ、猫だからな」




「ねこだからー、ふふ」




ちなみに葵ちゃんは出がけに一人で歩いていたから誘ったのだ。


小さい子たちはお昼寝の時間なので、手持ち無沙汰だったらしい。




「あついねー、サクラちゃん」




「わう!わふ!」




もう夏はすぐそこ。


人口が少なく緑が多いこの原野でも、それなりに陽射しが暑くなってきた。


ウチの地方は夏が暑いからなあ・・・クーラーナシはけっこう辛そうだ。


いや、たぶん電気を流せば動くんだが・・・現状ではあまり大電力を行使することは難しいだろう。


そこらへんは全くの門外漢だからなあ、俺文系だし。


大木くんに聞いてみようかな。


どっかから大量のソーラーパネルをいただいてくるか、それとも・・・




「そうか、プールという手もあるか」




井戸水はいつでもキンキンに冷えている。


今でも小さいビニールプールはあるが、それこそでっかいのを調達できればお手軽に涼めるぞ。




「プール!」「ひゃん!」




葵ちゃんとサクラが同時に反応した。


サクラの方は反射だろうが。




「お、葵ちゃんプール好きかい?」




「だいすき!しみんプールにもいってたよ!」




「そっかあ、じゃあ泳げるんだ。小さい子たちに教えてあげないとなあ」




「うん!」




いつもより表情が豊かなので、本当に大好きなんだろう。


ゾンビさえいなけりゃ海でも川でも連れてってやるんだがなあ・・・


釣りとは違い、泳ぐのはあまりにも無防備で危ない。


せめてプールくらい用意してやろうか。




「璃子おねーちゃんは水泳部だしな。きっと色々教えてくれるぞ」




「たのしみ!ね、サクラちゃん!いっしょにおよごう、ねー?」




「おん!わふわふ!!」




サクラは・・・まあ風呂にも慣れてるし大丈夫だろう。


泳げない犬なんて聞いたことないしな。




そんなことを言っているうちに、山に突き当たった。


今回の散歩は、高柳運送から北に田んぼを突っ切って山まで行くルートだ。


見晴らしはいいから安全だし、ゆるい傾斜になっていて程よい運動にもなる。


原野の街中を歩いてもいいんだが、家の中からゾンビがこんにちはエントリーしてきても困るし。


ゆくゆくはすべての家からゾンビを掃討せにゃならんのだろうが・・・まだ先でいいだろう。


そういうのは自衛隊とかにお任せしていきたい。


高柳運送から近所の家はもう七塚原先輩がキレイにしてくれているし。




いつぞやの住宅地の遺体は・・・今はもう腐ってえらいことになっているだろうから近寄りたくない。


いや、しっかり供養もしてあげたいんだが・・・色々やっているうちにすっかりタイミングを逃してしまった。


ここからは距離も遠いし、冬くらいになったら様子を見に行こうかな。




「おじちゃんおじちゃん!」




葵ちゃんの声に身構える。


野良ゾンビか!?




「どうした!」




「みてみて!きつねさん!!」




・・・見れば、木の隙間から俺たちをじっと見ている狐がいた。


距離は20メートルくらいか。




「ふさふさ!かわいい!」




「尻尾がもこもこだなあ」




「・・・わぅ」




サクラだけが少し及び腰だ。


初めて見たから無理もないか。




「夜行性なのに昼間っから珍しいなあ」




「やこうせいー?」




「ああ、夜に活動する動物のことだよ。えーと、フクロウとかもそうか」




「じゃあ、ひるになにしてるの?」




「だいたい巣で寝てるんだよ」




「おひるね!おじちゃんといっしょ!」




・・・そうかあ?


俺そんなにシエスタ楽しんでるつもりはないけどなあ。


どちらかと言うと後藤倫先輩じゃねえの?


あの人気が付いたら倉庫の屋根でソラと寝てるぞ?


今日もそうだったし。




狐はいつの間にかいなくなっていた。


また見れるといいな。




「おじちゃんはねえ、おひるねばっかりしてるといいよー?」




「なんで葵ちゃんは俺を積極的にニートにさせようとするの」




そりゃ俺だって昼間っからゴロゴロして生きていきたいけどさ。




「だってぇ・・・」




葵ちゃんはしゃがみ込むと、尻尾を振るサクラの顔を両手でもにもにしている。


サクラ的には気持ちいいらしく、嫌がる気配はない。




「おじちゃん、おそとでいっつもすごいケガしてかえってくるからぁ・・・」




・・・ぐうの音も出ない。




「みんなしんぱい、してるんだよー?」




うぐぐぐ。


心が苦しい・・・苦しすぎる。


俺がもっと強ければ・・・具体的には子連れの狼さんくらい。


それくらいなら心配されんのかなあ。


いや、でもあそこまでストイックになれる気もしないけど。




「ふうむ、もっと強くならんとなあおじちゃんも」




「ひゃっ」




葵ちゃんの腰を掴み、ぐいっと持ち上げる。


そのまま肩車の体勢に移行。


いつものスタイルだ。




「〇イルダーオーン!では葵ちゃんにはおっちゃんの修行を手伝ってもらうとするか!」




「えへへ、わーい!」




葵ちゃんからリードを受け取り、サクラを見る。


目がすっごいキラキラしとる。




「すまんが肩車は無理だサクラよ」




「きゅぅん・・・」




だって肩から落ちちゃうと思うし。




「というわけでお前は抱っこ!」




「わん!」




膝に飛びつくサクラをゆっくり抱え上げる。


それで即席ダンベルゲットだ。




「それでは・・・高柳運送までかけあーし!」




「わん!」




「かけあーし!」




はしゃぐ葵ちゃんの声を聞きつつ、俺は足を踏み出した。


帰りながら体幹を鍛える・・・肩車ってけっこういい訓練かもしれんな、やっぱり。








「んみぃい~」




「おや珍しい、危ないから触っちゃだめだぞ」




「んみみぃ~みぃあ!」




「ぜんっぜん言うこと聞かねえなお前」




散歩から帰った後、俺は屋上で刀の手入れをしている。


葵ちゃんとサクラは、昼寝が終わった子供たちと庭で楽しそうに遊んでいる。




『みらいの家』から分捕った刀たちに打ち粉をしたりしていたら、ドアの方からソラが走ってきたのだ。


どうやらこちらもお昼寝は終了したらしい。




「なぁお!まぁお!」




「はいはい」




聞き分けのいいサクラと違って、ソラはお構いなしに俺の膝に突撃してきた。


まあまだ子供だから仕方ないか・・・


・・・いや、サクラは初めから賢かったな?




「お前もでっかくなってきたなあ。ミルクと愛情のお陰か?」




「みぃ!んみみぃ!」




ガリガリの時からだいたい2倍くらいの重さにはなってるかな。


子供の成長は速いなあ。


当初はどうなるかと思ってたが、今では元気すぎるくらい元気だ。




太腿の上でジタバタしているソラを放置し、刀を鞘に納めて脇へ置く。


そうしてからソラを持ち上げ、片手で顎の下をカリカリしてやる。


初めは指にじゃれついていたが、しばらくしていると喉を鳴らし始めた。




「初めて聞いた時はビックリしたなあ、この音」




今まで身近に猫がいた経験がなかったからな。


ゴロゴロなんて可愛いもんじゃなくて、バイクのエンジンみたいな感じの音なんだもんな。


ドゥルルルル・・・みたいな感じ。




「今の姿を見れば、天国のおかあちゃんや兄弟も喜んでくれるだろうなあ」




「みぃい~!」




ぽっこりしたお腹を空に向けて目を閉じるソラ。


うむ、幸せなのはいいことだ。


子供も動物も、明日のことなんて心配せずに生きていけるように・・・俺が頑張らなきゃな。




「お前もそう思うだろ?」




同じように手入れしていた『魂喰』に目を向けて呟く。


刀は黙して何も語ることはなかった。


はは、当たり前だ。


こんな昼間っから怪奇現象もあるまいよ。






―――りぃん






「・・・ソラはかわいいなあ!かわいいなあ!!」




「みゃぁう!なぁお!」




何も聞こえなかった!


今俺は何も聞かなかった!!


たぶん下で子供が鈴かなんかで遊んでいるんだ!そうに違いない!!


違いないったら違いないのだ!!




「田中野さん」




「ぎゃあ!?」「みぃぃ!!!」




ビックリしたァ!!




「ぎゃあとはなんですか・・・」




少し悲しそうな顔をした神崎さんが、ドアの前に立っている。


俺の声にびっくりしたであろうソラが、抗議するように指を甘噛みしてきた。




「ああいや、すいません・・・ちょっと考え事をしていたもんで」




「そうですか。あの、隣・・・いいですか?」




「どうぞどうぞ」




神崎さんが横に腰かけてきた。




「みぃい~」




俺の指を堪能したソラが、ぴょいと膝から跳び下りて神崎さんの膝へ。




「ふふ、ソラくんも元気ね」




神崎さんはニコニコしながらソラを抱き上げた。


顔の前に持ち上げられ、ソラはご機嫌で喉を鳴らしている。




「三等陸佐との通信の件ですが」




ソラをあやすように抱っこしながら、神崎さんが真剣な声を出す。




「ああ、なんかチンピラが増えてるっていうアレですか」




「ええ、先程追加で連絡がありましたが・・・御神楽が襲撃されたようです」




「なんですって!?」




また急な話だなオイ!




「50人ほどの集団が、収容と保護を求めてやって来て・・・拒否すると無理やり侵入しようとしてきたとのことです」




行動が短絡的かつ攻撃的過ぎる。


今まで入れろ入れろ騒いでいた奴らだって押し通ろうとはしなかったハズだぞ。




「マジすか・・・それで、御神楽の被害は?」




「そこは大丈夫です。一斉射で集団はパニックになり、すぐに逃走したらしいですから」




よっわ。


威勢がいい癖によっわ。


アレか?自衛隊とか警察相手だからいきなり撃たれるようなことはないって勘違いでもしてたのかな?




「―――問題はこの先なのですが」




おっと、まだ続きがあるのか。




「集団はバイクや車で移動していたようですが・・・その後を三等陸佐の部下が追跡したんです」




古保利さんの部下・・・ああ、あの動きがキレッキレの人達ね。


上官がニンジャだから部下もニンジャなのかもしれん。


そこらのチンピラ相手じゃ、気付かれもしないだろうな。




「その集団は硲谷にあるホームセンターに逃げ込んだようです。そこが拠点だったようで」




おいおい、近所じゃないか。


きな臭くなってきたなあ。




「見つからないように偵察していた所・・・話し合いが持たれていたようで」




・・・あ。


俺なんかわかっちゃったかも。




「『龍宮は危ないから詩谷か、原野に行こう』と話していたようです」




やっぱりィ!!


一番危ないのはお前らの頭じゃないか!!




「・・・来ますね、そりゃあ」




「ええ、そしてここに間違いなく興味を持つでしょう」




何度も言うがここは硲谷と詩谷の途中だし。




高柳運送は、外から見ても誰か住んでいるのはすぐにわかるだろう。


なんてったって門が厳重に改造されているんだ。


それに敷地は広いし、立地も周囲が堀で囲まれているので最高だ。


他の人間から何かを奪うことに躊躇のないタイプの人間たちには、そりゃあ魅力的に見えるだろうさ。




「おまけに住人は美人揃いときたもんだ。それも知られたらダッシュで奪いに来るでしょうなあ」




「びじっ・・・!しょ、しょうでしゅ!」




なんで舌噛んだの神崎さん。


あーあー、顔も真っ赤じゃないか。




「とりあえず迎撃の準備しなきゃですな。ちょっと大木くんも呼んできますわ」




「ひゃ、ひゃい!」




ソラにほっぺをぷにぷにされている神崎さんをそのままに、俺は刀を担いで立ち上がった。


さーて、忙しくなるぞお。


・・・面倒くせえなあ。








「ついに僕の高性能新型爆弾をお披露目する機会が・・・」




「お、おう」




というわけで、歩いてすぐの大木邸にやってきたんだが。


説明するなり、大木くんはノリノリになった。


うん、メンタルが強い。


すごく強い。




「こんなこともあろうかと・・・暇な時間を見つけてはガッションガッション作っていた爆弾たちが日の目を・・・ううう」




「そんな工場みたいに・・・」




「大木爆弾工場!カッコよくないすか!?」




「ど、どうだろう」




ま、まあ・・・頼もしくはあるな、うん。


土壇場でケツまくる人間じゃないことは確かだし。




「一応言っとくが防衛用だからな、この前の炊飯器ボムみたいのは無理だからな?」




「はっは、あれの新型だったら塀が全部吹き飛びますよはっはっは!」




「笑い事じゃないんだよなあ・・・」




とんでもない威力だったし、アレ。


防衛に成功したけど塀が無くなりました・・・では話にならない。




「・・・と、いうわけですまんけどまたウチに泊まりに来てくれんか?」




「こっちからお願いしたいくらいですよ、僕1人じゃあっというまに死にますからね!近接にスキルポイント一切振ってないもんで!」




判断が早い!


さすが大木くんだ。




「PCと3Dプリンタは厳重に隠してますから見つからないでしょうし・・・っていうか無理やり隠し場所に入ろうとしたら家ごと消し飛ぶようにしてますからね!安心です!」




・・・子供たちにはくれぐれも大木ハウスに勝手に入らないように注意しておこう。


いい子たちだから大丈夫だと思うが。




「じゃあ準備してすぐに行きますんで!」




言うなり大木くんは家の中に入っていった。


話が早くて本当に助かる。


俺も帰って戦闘要員とブリーフィングといこうか。






「ほうか、あの屑共も多少は役に立っとったっちゅうことかのう」




「ゴキブリと同じくらい役には立っていたと思う」




休憩室に移動し、先輩方に事情説明をした。




「とりあえず初めは静観で、コンタクトを取って来てなおかつ向こうが攻撃的なら殲滅・・・って感じでいくつもりですけど」




「ええんじゃなーか。まあ、話を聞く限りとても平和的な連中じゃなかろうがの」




「もういっそカメラ小僧の爆弾で吹き飛ばせばいいと思うな。道の上あたりに地雷敷いて」




初手から物騒な後藤倫先輩を無視し、大体の計画を建てる。


通りがかっただけで皆殺しは流石にアレだと思うな。


人違いかもしれないし。




「あと、声をかけるのは俺か七塚原先輩で。ここって美人さん多いんで絶対に執着されそうですもん」




巴さんとか見られたら絶対襲ってくる。


斑鳩さんもそうだと思うけど。




「ほうじゃの、わざわざ挑発することもなーか」




「田中田中、私も美人?」




後藤倫先輩が何故かシャツを引っ張って聞いてくる。


あの・・・ちょいちょい引っ張るなら可愛らしいんですけど、引っ張りすぎなんですが。


首元ベロンベロンになっちゃうでしょ!?




「何を今更・・・美人ですよ遺憾ながrおっご!?!?!?」




鳩尾に・・・鳩尾に貫き手が・・・


腹筋から気を抜いてたのが災いした・・・おごごご・・・




「一言多い、馬鹿」




後藤倫先輩はそう言って部屋から出て行ってしまった。


どこにいたのか、ソラがにゃんにゃん鳴きながらそれを追いかけていく。




「おまーっちゅう男は・・・はぁ・・・」




何故か、可哀そうな生き物を見る目で七塚原先輩が溜息をついた。


哀れみのオーラ力をすごく感じる・・・なんでじゃ!!




とにかく、いつそいつらが来るかわからない。


子供たちは社屋に避難させて、巴さんに面倒を見てもらおう。


もちろん外も見せないようにして。


これ以上のトラウマを植え付けちゃまずいしな。




「巴にゃわしが話すわ、おまーは斑鳩さんらぁに連絡頼む。たぶん屋上におるはずじゃ」




「了解っす」




俺たちは揃って立ち上がり、それぞれの準備をすることにした。




まったく、デカい屑がいなくなったと思ったらまた湧いてくるのか・・・


まあ仕方がない。


俺の知らないところで暴れるならともかく、こっちをどうこうしようと寄って来るんだったら・・・




「叩いて砕く、ってやつだ」




・・・どちらかと言えば斬るかな?


そんなことを考えながら、俺は屋上への階段を上り始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る