第8話 ちょっとした推理時間

『被害者が○されている時何をしてましたか』




具体的な内容に答えを選ばなければならない、視聴者はもうすぐ二千人に達し一語一句はリアルタイムに人の耳に届けられる。これだけの人数の内素直に言葉を理解してくれる人は一部だろう、しかしその一部の内声を上げてくれる人が十人でもいればそれを後押しとして味方が増えるかも知れない。状況の改善に必要でなことだ。もしかしたらうまく行かないかも知れないし見積もりが甘くそこまでの人数が行動を起こすための魅力ある人物は魅せられない可能性もある。保険をかけてもう少し人数が増えてからでも良かったがこの配信が止められる可能性を考えたら余りもたもたしていられない。


後で悪意のある切り抜き方をされる可能性も考え失言をしないよう心がけるがきっと結果は振るわないだろう、お客さんの前で説明したことはあったが大多数に向けた会見みたいなことはこれが初めてだ。


そういった意味でも今この生配信でどれだけの人に信じてもらえるかが重要になる。




「私がその期間何をしていたのかを話すと少し長くなりますのでコメントに目を通し答える時間も含めて気になる内容をピックアップして話していきます」


「事のはじめとして私は1月の初めに鬱の診断を貰い仕事を辞め、休職期間に入っていました。辞めた理由は色々あるのですがまとめると合わなかったというのが一番の理由になります、そしてそこから一ヶ月ほど心労を快復させるため休みそこから就職活動をして節約のため家から余り出ないよう心がけていました。アリバイなどを証明するものがなくそのため信用はないかも知れませんが来た質問に答えることで信用の穴を埋めていこうと思います」




少しの間気になるコメントを待つ、できれば内容に穴を少なくしながらあの掲示板に広まっている内容やニュースなどの内容と照らし合わせ他にできる条件のある人を考えて視聴者と考えていこうと思っている。


正直なところわかるわけはないと思っているが自分に条件が合わない項目を揃えていき焦点を外させることで犯人としての候補から外す効果ぐらいは期待している。




『休みに期間にJD襲ったんだろ社会不適合者』


『嘘でもホントでもアリバイ証明難しくて草』


『節約過激派じゃん、理解できない』


『色々突っ込みどころあるけどニートの間何して過ごしてたか答えてないマイナス1万点』


『外出てないとか家の中でコソコソしなきゃいけない理由があったんじゃないんですか』




節約過激派に関しては否定が出来ない、どうにも仕事していないときのお金に対する焦りは異常に心を摩耗させていたため一日一食や溜め込んでいたカップラーメンや切り餅にパスタ、食べる気の起きないくらい不味かったプロテインなどを一食に当てていた。もちろん米や肉や野菜などは一ヶ月に一度まとめて買い無駄な買い物や体力消費を抑えていた。


それより答えなければならなかったのは『ニートの間何をしていたのか』『コソコソしていた理由』に関してだった。




「仕事をしていない時間に何をしていたのかについてお話しますとまずはとにかく寝ることでした、一週間以上は何も出来ずに動画を見たりして寝ていたと思います。言い訳に聞こえるかも知れませんが仕事のせいかゲームなどを楽しむことが出来ずになっていたため手軽に流せる動画などを出しながら布団の上からは動けずじまいでした」


「時間が少したち動画の内容に気を配れるくらいには快復した頃に配信をしている方をみて気力が沸き自炊や趣味のゲームやアニメ鑑賞などをしていました、その前までは晩御飯をデリバリーしていたためかなりお金がかかっていたと思います」




色々語っているうちに少し思い出し暗い気持ちになる、何をするにも気力がわかずに布団からも起き上がれない、春に作ってもらいたかったが本人から作りたくないと拒否されたため頼む他なかった。何もしていないあの時間は浪費とも言えたが必要な時間と出費だった。




『まんま鬱のときの俺で草』


『焦りとかすごいわかる、なんであんなに休む時間が怖いんだろうなぁ』


『ニートしてる間も生産性なくてゴミ、さっさと働けよ無能』


『コメント欄地獄絵図じゃん』




こころなしか優しく共感してくれる内容もあり心に余裕が生まれる、厳しい内容と半々位の数ではあるがそれでも共感してもらえる嬉しさはここ最近味わっていなかったのもあり涙が少し出そうである。こういったことが配信している人の支えになると心の底から感じた。

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