第9話 悪いのは誰か

意外と優しいコメントを貰えたことで身が引き締まる。


共感を引くような発言になってしまったがここまで流れる言葉が変わるとこれ以降にひどいことを言われた際に心を折られそうだ。出来ることならこういったコメントが増えてくれれば気も休まり安定して話せるだろう。


流石にそう優しい出来事は続かず一時の癒やしはあるコメントで終わってしまう。




『鬱だったとして仕事も探さずのうのうとしてて恥ずかしくなかったんですか』


『その期間に誰とも会わず誰とも会話しないっておかしくない?』


『出来すぎてる、都合悪いことも全部話せよ、嘘つくな』




言葉の急降下に顔を打たれたような気分を覚える。鬱と行った点に興味を持たないものや共感を持てない、もしくは必要がないと思われているのか理性的なコメントやどこまでも嘘だと捉えて来る人がいる。たしかにまだ配信は始まってから30分と立っておらず物語で言えば序盤の導入すら終わってない段階だが信用を得ることは本当に見えない道のりだ。


ともかくきてる質問に答えようと内容を一巡してまとめて配信の話すことリストに入れる、こうしておけば自分がどこまで話を聞けているかがわかり進み具合なども途中から入った人に伝わるだろう。




「いまご質問がありました『誰ともあっていなかったのか』という内容に関して答えさせていただくと直接人と合うことはしていませんでした、仕事をしている時は友人と会話をしたりしていたのですが辞めてから急に気力がなくなって電話やメールなどもその時は控えめになっていました。流石にその間全くの交流がなかったとは言わず友人から来る近状報告に対して返信にて相槌を打つくらいのことはしていてその履歴等も消してはいません、なので公開するわけにはいきませんが話してなかったことはないです」


「都合の悪い内容はなく特質すべきがないためお話することがないため話している内容が薄くなっているかも知れません、日常における些細な質問等もいただければお話できるかも知れませんが納得の行く内容になるとは考えにくいため要望が多くない限りはそのまま次の内容へ向かいます」




反応を待ち批判がどの程度に落ち着くのか待っている。これで内容の詳細を更に責められても春の話をするわけには行かないしゲームやアニメ、推しの名前等を聞かれても自分が話すことでネガティブキャンペーンになりかねない為うかつに話すことは出来ない。


ただやはり気になっている人はいるようなので実際のの名前は出さずにぼかすような形で伝える。




「その時期に触っていたゲームの種類は今でも人気のアクションに属するタイトルの固定ゲーム機のオンラインなどに入っていました。配信サイトなどで見ていた内容としてはランキング内の内容や日頃から生配信などをされている方を中心に見ていました、これ以上は話すことによりその方々や作品に影響が出る可能性もあるため何も気になる点がなければ次の質問へ生きます」




『流行に乗っかるタイプか…趣味とかなさそう』


『具体的なこと言ってないのとかネットリテラシー高いのは配信者として満点だけど求められてない』


『面白い内容待ってる』


『掘り下げるところでもなしにしゃーない』




結構真剣に質問に答えているつもりでも見ている人たちはエンタメを求めてここにいることがわかる、罵倒でも質問でもなくただ内容に対してつまらないと言われる、リクエストに答えていても望んでいるものには答えられてはおらず時間を割くべきかわからない話題にどう対応していくべきか考える。


本当なら真実を聞きたい人たちに届けるべく始めた配信で求めている利益は証拠人を増やすことと流れを変えることだ。こういった内容は遅延になり妨げにもなる、だがしかしコメントにもされていた求められている内容に答えられていないという意見はたしかかも知れずこの視聴者の中から何割がバラエティを求められているか分かっていない今、そういった視聴者層を捨てるわけにも行かず興味を持ってもらうために続けることを選ぶ。




「今のような内容でよろしければ今後も答えられる範囲で答えていくため控えめの内容とはなりますが気なった方は視聴を続けていただけると助かります、お次に聞きたい内容などあればコメントを下さい、もしなければ『なぜ写真が入っていたのか』について答えていこうと思います」




『あくしろよ』


『どうでもいい内容とかいらないから本題』


『そろそろ晩御飯なので終わらせてほしい』


『メシウマを待ってます』




本来なら順番通りに話さなければならないが内容によっては聞きたい内容が変わっているかも知れないと一応聞いたがそこまで心配する必要なかったようで順番どおりでいいとのコメントが多かった。それはそのはず自分としても気になる内容でなぜ入っているのかはに関して考察するような内容になってしまう。




「ご意見いただきありがとうございます、このままでいいとのことだったので話を勧めていきます」


「写真に関して述べたいことは様々あるのですがまず冒頭にもお話したとおり写真が何故入っているのかについて私は全く心当たりが無くニュース等に写っている被害者の顔を見ても接点を持った憶えがないため話せる内容としてはつまらないものになるかも知れませんが私が考えた限りの理由とみなさんが考えた内容等を照らし合わせて考察のような形で聞いていただければと思います」


「少し時間がかかるかも知れませんが時間も夕飯時となっているため家庭の時間等がある方はそちらを優先していただくことをおすすめします、そうでない方は引き続きお時間をいただければ助かります」




『やっと本題テンポ大事』


『さっきから罵倒コメントが無視されてるせいで減ってるの草、許さんから早く話せ』


『配信主の鋼の意思メンタルに視聴者側が試されてる』


『コメントの流れ落ち着いてきたのに視聴者増えてんじゃん』




言われて気づくが視聴者は4千人後半と既にかなりの数になっていた、推しの配信と同じだけの同時接続数に近づけて嬉しさとともに素直に喜べない話題となってしまう。元の知名度を出したきっかけが良くないことでありこれを利用したのを改めて醜いことだと理解する。疑いが晴れればこのチャンネルを収益化しようと考えてきたが継続的能力もなく人の死を利用したという事実が自分を苦しめるだけだ。


気づくと嫌な人間性に頭が痛くなり、視聴者に気づかれないことを望んでいる事にさらに辟易する。


私は事件の有罪無罪に関わらず裁かれる人物であるべきだと思ってしまう。


コメントの罵倒が減ったことを、罪を自覚することで喜べなくなってしまうが始めたのは私であり最後まで目的のためにやりとげなければならない、チャンネルの収益化を実際に行わなければそれは私の妄想で終わり避難を浴びることはない。


心に余裕ができたことで自身の責にさいなまれる、迷いが生まれてしまう。引きづられないように話題へと移った。




「まずネットに上がった写真の出処が正しいのかについて考えていこうかと思います」




早く別のことを考えたかった。

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