第3話 林恵理の話
私は林恵理、21歳大学生だ。
ここ最近はオンライン授業に外出自粛とあまり良いことがなく、友達と電話でもしようかと声をかければ『結構楽しい内職見つけちゃって、少し集中したいんだ、ごめんね』と可愛らしく言われてしまう。
名前は黒子玲奈くろこ れな。紫がかったショートボブの髪、150cmと私より23cmも低く女の子らしいスリムなルックスとロリータスタイルのファッションをしている。
声の可愛さ、人懐っこさもあり凡人スタイルの私には眩しい存在だ。肝心の私はジャージにポニテと……やめよう。少し憧れを持ち一度お揃いの靴を履こうとしたこともあったが私のサイズがなく断念。玲奈から慰めの言葉をもらったがそれ以来ファッションに関しては余り触れていない。
今年は重要な試験があるのを忘れているのだろうか、就活もまだ終わっていないのに内職の良さを味わってしまえば就職する気力も削がれてしまいそうだ。
元から私と違って大学生活を時間の宝庫として認識して行動していたタイプだ。オンライン授業になってからは喜んでいたのを覚えている、効率よくサボろうと頭を働かせるあたり自分の時間を一番にしているのだろう。
なんというか考え方の違いが羨ましい限りだ、彼氏があまり顔を合わせてくれないと控えめな彼氏自慢もされた、考えると悔しいので勉強に集中する。
「あ〜あ、私も彼氏がいればもう少し花のある時間になったのかな」
一ヶ月ほどが立ち必修科目の実技があるため大学に来れるようになった。
家にいた退屈さとようやく学びたいことをに手を出せるという嬉しさからテンション高めで向かっていた。
きっと玲奈は自由な時間が奪われることに嫌そうな顔で渋々来るのだろう。あの隠せていない表情は見ていると癒やされるので楽しみだ。
しかし着いてから周りを見てみるといないことに気づく、もしかして知らのだろうか、一応メールを送ってみるが気づいていないのか返信は来ない。長い期間の自宅期間で昼夜逆転したのかと思い遅れてくるのを待ってみる。
「玲奈ちゃんって見た?」
「俺?知らないよ、あいつのことだし気がついたら混じってるんじゃない?」
周りに聞いてみるが見ていないようで結果は得られず、そんなことをしていたら時間になってしまう。
結局来なかったため心配になりコンビニで玲奈の好きなシュークリームを買い家に向かった。
いつものように一階の入り口を他の人が入るタイミングで一緒に通り抜け、エレベーターで5階に行く。
入学したときから不用心なことに来る人は友人しか来ないと言って玄関の鍵はかけていない、可愛いのだから変な人が知れば放っておかないように思える。
しかし今まではどの時間も周りに友達がいたり私みたいな背たかのっぽがいたため手を出すような人はいなかった。そんな事を考えいつものようにそのまま入る。
『あはは〜……必修だったのか〜、やらかしちゃったな、来年もよろしくね恵利ちゃん♪』
そんな冗談でも言われるのだろうかと思い少し表情が緩んでしまう。玲奈なら何をしていても当たり前で許してしまいそうだ。
すると鼻につく鋭い匂いに生活の心配をし、ちょっとおっころうかと思い部屋までたどり着く。
予想していなかった。
「なんで………」
「………………」
目の前には見るも無残な姿になった死体とそれに湧き出た生き物。
面影の残る髪がそれを玲奈であると語っていた。受け止められず膝をつくすむせ返る匂いに内容物を戻し、袋に入ったシュークリームは私の体に潰され中身を晒していた。
考えもしなかった出来事に体はこわばり、恐怖にかられ警察を呼ぶ。散らかしてしまった現場に申し訳無さをを覚えるが頭の中には死んでしまった友人に対してなぜという気持ちが強かった。
服を着ておらず外傷のようなものも見えず原因がわからない、自殺をするようにも思えず得体のしれなさに死因を聞こうと試みるが教えてはもらえず。その日は事情聴取を受け、返された。一人で居るのが怖くなり近くに住んでいる兄のもとへ向かう。
こういった時に頼りになる兄は突然のことにも動じず受け入れてくれた。
来客用の布団に入り一人になるとまた思い出し震えが止まらなくなり、玲奈との思い出を振り返る。
大学に入り最初に声をかけてくれたには玲奈だった。
高校まではスポーツ特待とその繋がりでいろんな友人がいたが、三年生になると就職か進学を選ばなければならず、その時に一人別の道を進んだ影響で心細かった私は声をかけてくれた事に助けられていた。
玲奈をきっかけに他の人とも話したりするようにはなったが、裏表のない人間性と話す時間が一番長かったのもあって一番は玲奈だった。
思い出すと玲奈がもういないという事実が信じられず、誰がひどいことをしたのだろうと思い玲奈の過去、周りの関係などを調べるためパソコンの電源を入れた……
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