第27話
迷宮深度:4
潜心:2
潜技:3
潜体:2
【聖域】:1
迷宮第四層。
石畳を砕き割るほどの力強さで通路を駆け抜ける僕は、背後から迫ってくる
僕の急制動に対応できず石壁に背中を預けた僕の目の前を通り過ぎる狼型の
「イクイップ」
左手首のダイバーズウォッチの表面に右手の二本指を置く。
「スワイプ!」
右手を振りぬきながら、出現した中剣で
「追いかけてくる
ふうと息をつく。
群れをなす狼型の
「癒し……癒しが欲しい……具体的にはシリエルさんの魅惑の太ももで膝枕してもらって丸一日寝てみたい……」
ピュアな欲望が無意識に口に出てくる。良きアイデアだと思って「ヘイ、シリエルさん」とコールしたが、いつもは即応答してくるシリエルさんがまさかの無反応だった。
「ダイバーズウォッチめ、音声認識壊れてるんじゃあるまいか」
パシンパシン叩いてみたが、シリエルさんの応答はなし。む、叩き方が足りなかったか。
『ダイバーズウォッチを叩かないでください』
「あ、シリエルさん。音声認識おかしくない?」
『あまりの気持ち悪さにスルーしてました』
「そですか」
すん、と鼻をすすってしまった。悲しくなんかない。
『それにしても先ほどの
「そうだね。もうちょっと僕に力がつけばもっと楽に倒せたかもしれない」
『六階層以降に潜るのなら、それぐらいの力がないと厳しいですね。もちろん今でも戦えはしますが、今一つ安定さに欠けています』
「うーん」
「力をつけたい」といえば、一番分かりやすいのは攻撃力、だろう。しかし、
一対多での戦闘で苦労しているのは、複数の相手と同時に戦う状態にしか持ち込めてない事、複数に一度に攻撃できる範囲攻撃や遠距離攻撃が出来ない事だろうか。
「やはり、今こそ【
以前、思い浮かべた【火球】や【水槍】の「ぼくのかんがえたさいきょうわざ」を思い出してニヤリとする。あれは格好良かった。両手をポケットに突っ込んで、【水槍】を背後に十数本出現させたい。燃える。
『
「やめて」
古の封印した記憶が蘇っちゃうでしょ。まだ大丈夫、僕の右手は疼いていない。
「それはそれとして、次の【
シリエルさんの意見を聞いて参考にしたいと思い、僕はシリエルさんに尋ねた。
『そうですね、私としては別の【
「なるほど」
『接近戦で効果を発揮する【
「一体一体確実に減らすことができれば、複数であっても怖くないか……うん、わかった。シリエルさんの意見に従って次の【
『ではインフォメーションを開いてください』
「ん?」
『先ほどの戦闘で、潜体が「3」に上がりました。【
シリエルさんの響いてくる声に、急いでスワイプってインフォメーションを表示する。
迷宮深度:4
潜心:2
潜技:3
潜体:3
【聖域】:1
と、同時に取得可能【
「おおおおおお!」
歓喜の雄たけびをあげる僕に、シリエルさんの声が重なる。
『では、今から言う【
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