第34話 こんな世界

「ど、どうして…?」


「…通り魔殺人だ…」


「は?」


意味がわからない


「昨日の夜、外出中に最近事件で話題になっていた通り魔に…刺されて亡くなられたらしい…」


「嘘だ…」


「落ち着いてくれ!ライアー君!」


「なんで…英華が…!!英華が何をしたんだよ!!え!?」


俺は怒りに満ち溢れていた

当てる先もないこの怒りを

誰にぶつければいいんだよ


「とりあえず、今日は帰って休みなさい。お父さんに電話するから。」


「……いいです。歩いて帰ります。」


「…そうか…わかった。ゆっくり休みなさい」


俺は学校を出た。

すると前に英華をいじめていた集団が遊び歩いていた所に出くわしてしまった


「お?あれ、ライアー君じゃな〜い」


「よぉ!!彼女死んじまったらしいなぁ?」


「まじウケるわ!!あいつは死んだ方がいいって思ってる仲間がいて俺は嬉しいよぉ〜」


何を言ってる?


「なぁなぁ、そんな固くならないでよぉ、お前も殺らせてくれよ」


「お前も…?」


「あ、やっべ〜…そうだよ。あいつ殺ったのは俺だよ」


「なに…?」


「あいつよぉ、オシャレな袋持って歩いてたからよ!うぜぇから後ろから刺し殺して海に沈めてやったよ!今頃魚の餌にでもなってんじゃねぇのか!?ギャハハ!!」


ダメだ。ごめん父上。俺、こいつらの事


「殺さなきゃ気がすまねぇよ」



「あ〜?なん…ぐは!?」


「どんな風に殺したって?なぁ!どんな風に殺したんだよ!教えろよ!なぁ!?」


「てめぇ調子乗ってんじゃね…」


「なんだ?てめぇも英華を刺したのか?」


「ひっ…ち、ちげぇよ、俺は止めたんだよ?信じてくれよ。」


「そうか、ありがとな。」


「お、おう。もちろ…ぐわぁはっ!」


「お前がとんでもないクズで安心したよ!てめぇを殺しても罪悪感が湧きやがらねぇよ!あぁ!?」


ひたすら暴れていると俺の背中にいきなり痛みが走った


「がはっ…何を…」


背中を刺された。

俺は意識が遠くなる中ナイフを抜いて

倒れている2人の首を掻っ切った


「みちずれだ…ゴミ共が!!」


そして俺は死んだ

俺は英華を、守れなかった

俺はやっぱり、弱かった


「…?なんだここ」


「貴様、人を殺めたな?」


「…そうだ。俺は人殺しをした。」


「何故殺めた。あの2人はもう抵抗など出来なかったはずだ。」


「英華を殺した事が、死ぬほど許せなかった。

守りきれなかった俺自身がとてつもなく憎くて

…八つ当たりも込めてた」


「……田宮英華は今も現世をさまよっている」


「何…?」


「田宮英華を救いたいか?」


「救うにはどうすればいい?」


「貴様はガーディアンとなり、霊道帰還という現世に戻る方法をもちいて現世に戻り、彼女を成仏させてやれ」


「やってやる。それがせめてものけじめだ。」


「ならば貴様はヘルドレイクへ送る。地獄にしか行けぬが、それでも良いな?」


「地獄だろうとなんだろうと、這い上がってあいつを救ってやる。そしてあんな世界を…」


「そうはさせぬ。そのような考えを持った者ではガーディアンにはなれない。」


「なっ…そうか、わかったよ。改心もしてやる。絶対に英華を救ってやる…!」


俺が英華を救うんだ

じゃないと英華はまた独りだ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る