第12話 Bランクレイド ズメイ討伐戦
ズメイ発見の夜。
クズニカの詰所へ戻り、ズメイ監視についての報告を行った。
結局、フロドナの街道付近を何度も探索したが、ズメイは見つからなかった。
しかし、街道ではフロドナからの亡命者が何人か犠牲になった痕跡が見つかった。
片足だけ残された靴。丸呑みにされず、食いちぎられた身体の一部などだ。
フロドナにも危険通達の伝令を送り、これ以上犠牲者が出ないように手をまわした。
「Bランク冒険者のユニットが到着するのは明日の午後だ」
詰所での作戦会議で、人狼のゼ・ガンが話した。
その場にいるのはEランク冒険者のシュー・ガら3人。
Fランク冒険者のタケミとアリーシャ。
他にもEランク冒険者5人、Fランク冒険者3人、Gランク冒険者1人だ。
「Eランク冒険者8名。Fランク冒険者5名。Gランク冒険者1名。詰所の防衛兵が6人。それに副団長と、私。関所に4名。これで全部だ。」
聞く限りでは、ズメイにダメージすら与えられない気がする。
「Bランク冒険者のユニットっていうのは?」
ファイターのマレンシーが問いかけた。
「ホーランドの西部、マズールィ地方から来るので、どうしても距離がな。。
普段は別々のパーティで行動しているが、以前にも数回ズメイの討伐を行っているBランク冒険者たちだ。討伐隊として行動するときだけの限定パーティという事だ」
つまり、彼らが到着するまでは、ズメイが現れても逃げるしかない。
冒険者は良いが、住民やケガ人はどうしようもない。
「すまないが、クズニカの周囲を囲うようにして警戒にあたってくれ。ズメイを発見したら住民を真っ先に逃がす必要がある」
団長はそう言うが、走って逃げてどうなるものでもない。結界付与を施したテントの中でおとなしくするしかないのではないか。
ズメイの出没は初めてではないのだから、彼らの方が経験がある。出しゃばった事をしても仕方がない。自分の役割を果たそう。タケミは最悪アリーシャだけを抱えて逃げるという覚悟をする必要があった。
翌日、全員が寝不足のまま日が昇り、時間は11時を過ぎるところまできた。
「眠いな・・・しかしあと1時間もすれば、討伐隊が到着する。あと少し・・・」
タケミは他の冒険者とそう言い合いながら、見張りを続けた。
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ、、、、、
村の東の方で大きな音が聞こえた。
「おい、今の音聞こえたか?」
タケミは尋ねたが、他の冒険者には聞こえなかったらしい。
ということは、聴力が10倍になっているタケミだけが感知できた音だ。
相当に距離がある。関所あたりかもしれない
・・・・ズメイだ。
タケミはそう直感し、他の冒険者に告げて関所の方へ急いだ。
数分後、全力で急いだタケミが関所のあった場所へ到着すると、既に関所は破壊され、兵士たちは一人残らずいなくなっていた。
「丸呑みか・・・」
ズメイの身体の這いずりあとを探したが、見つからない。
「なんでだよ。あのデカさで・・」
「良し・・・減重魔法ウェイトハーフっ」
タケミは自身の体重を半分にして、全力でジャンプした。
数十メートルの高さまで一気にジャンプし、空からその痕跡を探す
「あれは、、、」
タケミは少し離れた場所に大きな穴を見つけた。
「まさか、、、地中を潜っているのか!?」
それを見て、タケミは嫌な予感がした。
クズニカへ戻ろう
ズメイは地中を進んでいる。
いくら見張りをしていても、それなら見張りは意味が無い。
胸騒ぎを抱えたまま、タケミは再びクズニカの方へと走り出した。
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