第7話
俺は、普段休日は家に引きこもっている人なのに、今俺は水翔にカフェラテを奢るそして、俺もついて行くという条件とはいえ、俺は今遊園地に来ている。
「おい、水翔、なんで俺遊園地に来てんだよ。そして、なんで入園料も俺が奢ることになってんのかね?」
「澮が言ってたじゃん、新作のカフェラテを奢る。そして、ついて行くって。」
「まさか水翔、それって遊園地の新作カフェラテのことを言ってたのか?」
「さすが、澮くん!ご名答。」
どこからか怒りが湧いてきた。俺は、人混みに来ることが嫌いなのは、他でもない。俺が予知夢で見る人は、俺に関わりのある人を特に見るが。それ以外にも、全く知らない人の夢まで見る、つまり、俺はその現場を見たくないんだ。幸せなら別にいいが、見かけ上の幸せは、反吐が出る。
「澮、昨日結彩奈のお母さんの電話出なかったろ。」
「えっ、なんのことだ?」
「とぼけてるつもりなら、ジェットコースター乗せんぞ!」
俺は、慌ててスマホを見た。確かに結彩奈の母親からかかって来てた。恐らく海に行ってた時だ。
「悪い、かけ直していいか?」
「どうぞ。俺はあっち行ってる。チュロスも奢れよ。」
俺は、水翔に了解と言って、結彩奈の母親にかけ直した。すると、すぐに繋がった。
「もしもし、元谷澮です。昨日は電話に出ず、すみませんでした。」
「いえいえ、気にしてませんよ。葉書をあんなにすぐに貰うとはびっくりしましたよ。でも連絡をくれてありがとうね。」
「はい。えっと、日程はいつにしますか?」
「そうね、澮くんは明日も学校だろうから学校終わりの金曜日とかどう?」
「大丈夫です。空けておきます。ありがとうございます。」
「いえいえ、会うのが楽しみだわ。じゃあまたね、澮くん。」
「はい、失礼します。」
そうして、俺は電話を切った。水翔を探していると、うずくまって泣いている女の子がいた。その姿を俺はまた、結彩奈と錯覚してしまった、俺は、「大丈夫?」と、声をかけようと思った。しかし、逆にこっちが倒れそうだった。すると、
「お姉ちゃん、大丈夫?泣かないで、これあげるから、ね!」
「お母さん、どこにいるの?お父さんは、どこにいるの?お兄ちゃん達助けて…」
と、女の子はまた泣き出したが、水翔が戻ってきてくれて助かった。水翔は、女の子をおんぶして、インフォメーションへ向かった。その途中で、結構俺でも可愛いと思うようなくまのぬいぐるみを女の子に渡した。すると、女の子はありがとうと言って安心したのか寝てしまった。
「水翔、小さい子大丈夫なのか?」
「まぁね、実は俺があっち行ってるって言った時に、この子を見かけてそれで、このくま買いに行ってたんだ。澮には、無理だね。」
「うるせーよ。でも助かったわ、ありがとう。」
「澮、お前、色んな人を結彩奈だとでも思ってんのか?もしそうなら、受け止めろ。」
「違う。違わないけど。」とボソッと呟いた。が、水翔は笑いながらどっちだよと言った。
そうして、女の子をインフォメーションに連れて行って、女の子の両親に送り届け、俺は奢るべき物を奢り、家に帰った。
そして、約束の金曜日の午後。俺は、数十年振りに、この街に帰ってきた。駅には、結彩奈の母親が待っていてくれたので、迷わずに済んだ。結彩奈の母親の、家に着いた。
リビングで、俺は結彩奈の母親と対面になって座った。どことなく緊張した。
「今日は、ありがとうございます。」
「いいのよ。じゃあ、本題に入りましょう。」
「はい。えっと、まずは、結彩奈の双子の妹のことについて教えて貰えませんか?」
「結彩奈の双子の妹ね。その子の本当の名前は、岬凛花って言うんだけどね。私たちは、離婚していたから、凛花の苗字は、高梨になってね、今の名前は、高梨凛花って言うの。
だけどね。澮くんも凛花もね、間近で、結彩奈の亡くなる所を見ててね。凛花は、澮くんのいた場所の反対側で固まってたみたいなの。ただ、凛花は、その後すぐに泣きながら、まだ小さいくて幼いのに救急車を呼んで、私にも電話したの。そうして、私達家族は、再会をしたの。けれど、問題は、そこから、病院についてすぐに澮くんの両親に、電話で事情を話して澮くんを迎えに行ってもらうように頼んで、私たちは凛花の傍から離れなかった。だけど、医者が、結彩奈が亡くなったと伝えに来た時にあの子は泣き叫んで、カバンを握りしめて、どこかへ行ってしまったの。私達も、泣き崩れてて、動けなかったし、携帯を持たせてた訳でもなかったから、連絡を取ることもできなかった。あの子が今もどこかで生きてるなら、会いたいわね。」
「俺は、高梨凛花さんを知っています。俺と水翔と同じクラスで元気にやっています。しかし、本人は、孤児院に預けられ、今もなお、小学校低学年辺りまでの記憶が全部ないと言ってます。」
「あらあら、そうだったのね。良かったわ、生きてて、本当に…」
俺は結彩奈の母親が泣いている所を見て、 俺は、気づくと泣いていた。
「澮くんまで泣くことないのに…でもありがとうね。凛花は、元気に生きているのね。良かったわ本当に、本当に良かったわ。」
「今度、一緒に来ます。」
俺は、まだ泣いていた。
「えぇ、待ってるわ。今日は、ありがとうね。」
そんなに話したつもりもなかったが、日が傾き始めた。そうして、俺は結彩奈の母親の家をあとにした。
家に帰って、思ったことがあった。水翔と俺と凛花は、同じ班になるならば、いっその事全部を話してしまおうと思った。校外学習でこんなことを話すのは、きっと俺だけだろう。そして、月日がほんの3ヶ月すぎた。
今日は、校外学習の日だ。
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