side アイト

(side.アイト)


 『人生は、ままならない』


父が母の寝所で夜を過ごすたび、アイトはこの言葉を聞かされていた。

勿論、多くを理解出来たわけではない。

ただ父が去った後、八つ当たりする様にアイトの首を絞める母があまりにも悲しげで。

母が自分の頬に落とす涙を拭ってあげられないのが、もどかしくて堪らなかった。


『あんな奴なんて、大嫌い。死んじゃえばいいのに』


これが母の口癖。

母は、父の愛妾(つま)なのに、父をアイシテいないのだという。

自分のジユウを奪った父の事が、憎くて堪らないんだそうだ。


『だから、あんたの事も大嫌い。産まなければ良かった。あの糞野郎と一緒に死んじゃえばいいのに』


これも、母の口癖。

母は父が大嫌いだから、父によく似たアイトの事もアイせないらしい。

なのに、何故母は毎度自分の首に手をかけながらも、最後は結局泣きながら指を緩めてしまうのだろう。

幾ら考えても、まだ四歳だったアイトには理解出来なかった。


 母は貧民街の出身で、国王である父の愛妾だった。

そのため王宮の中での立場は低く、アイトも小さい頃から少なからず母に関する汚れた言葉を耳にしてきた。

けれど、そういう悪言に母は動じない。

ただ、時折、一歩も出る事が許されない部屋の窓を寂しげに見つめるだけ。そんな母がどこかに行ってしまいそうで、アイトは恐くて堪らなかった。

 幸い、アイトは時の国王唯一の息子だったから、あまり表だって貶められた事はなかった。

精々、時折父の正妻である王妃から暗殺者が送られたり、食べ物に毒が入っていたりするくらいである。

生れた時からそうだったから、特別疑問に思う事はなかった。

ただ、これが世界の全てなのかと、少し寂しく思っただけだ。


 姉がいた。

王妃腹の子だったけれど、大人たちには内緒で、アイトの事をとても可愛がってくれた。

そんな姉も年ごろを迎え、ついに想う人が出来た。

その人がいかに素敵で剣を振るう姿がかっこいいのか姉に散々聞かされたが、アイトは姉が取られたみたいで内心あまり面白くなかった。

しかし、嬉々として笑う姉の顔がとても綺麗で、アイトは初めて触れた「正常な」愛情を羨ましく思わずにいられなかった。

人をアイするという事は、何て暖かくて優しいんだろう。

キラキラと輝く姉の瞳を見て、アイト少しだけそう思った。

 けれど。

ある日、姉は泣いて帰って来た。

幾ら待っても、想い人が迎えに来てくれなかったらしい。


『姫だろうが、関係ない。私が好きだから、攫ってくれるって言ったのに!』


気丈な姉が、それ程大声で泣きじゃくるのを見たのは初めてだった。

その姿を見て、アイトは何故か少しがっかりした気持ちで「やっぱり」と思わずにいられなかった。

やっぱり、人の想いなんてこんなもの。

そして姉は間もなく他国へ嫁ぎ、アイトは再び一人になった。


 少しは、寂しかったのかもしれない。

少しは、失望したのかもしれない。

少しは、悲しかったのかもしれない。

けれど、どうやら生来あまり感情が濃い方ではなかった様で、それ程深い何かは胸に残らなかった。

また、元の日々に戻るだけである。

何も変わりはしないと、アイトは自分にそっと言い聞かせた。


 そうして、幾何(いくばく)の時間が過ぎたある春の日。

珍しく父が母とアイトを連れて、外へ出かけた。

いや、外と言っても、王宮の中に変わりはなかったのだが、それでも大勢の人間がいる場所に行ったのは初めてだった。

父が、今日は年に一度の御前試合なのだと言った。

けれど、アイトは会場の中心で繰り広げられる剣技よりも、目まぐるしい程の、男、女、子供に思考を奪われていた。

貴賓席からこっそり立ち上がり、人の足の間を抜けて、抜けて。

そうして辺りの景色に夢中になっている内、アイトはいつの間にか迷子になっていた。

父は母と戯れる事に夢中だったから、アイトがいなくなった事に気付きはしなかった。

母もそんな父に反抗する事で忙しかったから、アイトの存在には見向きもしなかった。

使用人たちは、そもそもアイトに興味がなかったから、鮮やかな剣術試合に目を奪われていた。


ああ、今日も世界はこんなもの。

じっとしていれば、いつか父の部下か侍女が探しに来るだろう。

一応、自分はそれに値する「身分」を持っているから。

そう他人事の様に思って、アイトは近くにあった桜の木の下に腰かけた。

暖かな日差し。特別感慨は抱かないけれど、嫌に蒼い空だなと思った。

 

『えっと……僕、もしかして、迷子?』


不意に、振って来る声。

訝しげなそれは、どこか優しい響きを持っていた。

顔を上げれば、桜の花びらの中で舞う飴色の髪が見える。

暖かな亜麻色の瞳が、アイトのものを捕らえていた。


『もし良かったら、お父さんお母さん探すの、手伝いましょうか?私さっき準決勝が終わったばかりで、次の試合はまだ大分先なの』


暖かな笑みと共に、手を差し出される。

太陽の光で染まった空の色のせいか、何故かそれがどうしようもなく眩しく見えた。


『……僕が可愛いからって、ゆうかいしようって言うんですか』

『ち、違うわよ!私は断じて、ショタコンなんかじゃないわっ!』

『ゆうかいはんってみんなそう言うんですよね。本当に違うっていうのなら、あなたがゆうかいはんじゃないってショウコ、見せて下さいよ。僕、自分から名乗りもしない変な人にはついていっちゃいけないって言われてるんです』

『うっ!証拠とかはないけれど……。私の名前は、ローゼ・アルムホルトよ。フルネームは覚えてないけど、アルムホルト家って言えばそれなりに名が通ってるから、怪しい人間じゃないって事だけは確かだわ!』

『ああそうですか。ゆうかいはんさん』

『あれ、私が名乗った意味は!?』


少し意地の悪い事を問いかけてみれば、彼女は高い背丈に見合わず盛大に取り乱した。

それが何だかおかしくて、可愛らしくて、アイトは彼女の手を取っても良いかなと思った。

どうせ自分が誘拐された所で、世界は何も変わらない。

そういう自棄な感情も、いくらかはあった。


『ねぇ、あなたのお名前は?教えてくれたら、少しは御両親を探すのも楽になるんだけれど』

『ゆうかいはんに名前を教えるバカがいるわけないでしょう』

『だから誘拐犯じゃないってば!さっき飴を買ってあげたんだから、ちょっとは大人しくしてなさいよ!』

『そう言えば、ゆうかいはんってみんなお菓子で子供たぶらかしますよね』


アイトが放った言葉に、彼女は顔を赤くして怒った。

その様子を一瞥して、ぺろりと虹色の飴を舐める。

甘い甘い味がした。

 その時、ふと子供を肩車した男が横を通る。

多分親子なのだろう彼らを見て、彼女はおもむろに足を止めた。

どうやら、知り合いらしい。

明るく笑顔で笑い合うその姿が、何故か酷く目に突き刺さって。

自分とあまりにも大きな差異に、どうしようもなく胸が疼いた。


『……もう、飴なんていりません』


彼女が親子と別れた後、小さく呟いて、アイトはまだ食べかけの飴を地面に投げつけた。

彼女が少し驚いた表情を浮かべる。

困惑が滲んだその表情は、相変わらず酷く気づかわしげだった。

――ああ、ぶち壊してやりたい。

何をしたら彼女の偽善的な表情が崩れるのかと、嫌にドロリとした念がアイトの脳裏を過った。


『どうしたの?他に、何か食べたい物でもあるの?』

『いえ、何も。……それより、肩車してください。歩くの疲れました』


とびきり我が儘を言って、困らせてやろう。

そうしたら、彼女も呆れて、自分に愛想をつかすだろう。

その時に覗くであろう表情を思うと、アイトは少しだけ安心出来る気がした。


『仕方ないわね。ちょっとだけよ?』


軽々と抱き上げられ、高くなる視界。

何故か、非常に苛立った。


『……何で息が荒いんですか。僕の太ももに挟まれてこうふんでもしてるんですか』

『んなわけないじゃない!重いだけよ!あなたみたいな小さい子は趣味なわけないでしょ!変な事ばっかり言ってると振り落すわよ!』

『ああ、あなたも身長高いほうがすてきーっていうぞくぶつてきな女なんですね。よく分かりました』

『……全く、どこでそんな言葉覚えたの……!』


父が母に言っていたのを、見よう見まねで試しただけである。

ただ、それを言うのも癪で、アイトは引き続き彼女を困らせようと様々な難題を吹っ掛けた。


あれが食べたいです。あっ、やっぱりまずいんで捨てて良いですか。

もっと早く歩いてくださいよ、本当にのろまな人ですね。

疲れました。次は抱っこがいいです。

ああ、勿論荷物の抱えるのはナシですよ?僕はせんさいなんです。

次はあそこに行ってください。そこにりょうしんが出没しそうな気がします。

……………。


『クランベリージュース下さい。ホットだけど、熱くない温度でお願いします。ただし、ロテキア産のやつだけですよ』

『……あなた、本当に贅沢な子ね……』


げっそりとした面持ちで彼女がため息を吐く。

けれど、幾ら我が儘や酷い言葉を投げかけてみても、彼女がアイトを捨て置く様子は見えなかった。


 ああ、面白くない。

そう思って顔を上げれば、空に昇る赤い色が見えた。

父と母がいる方である。

珍しく、ドキリとした。


『あれ、何ですか……?』

『ん、何よ、あれって。……あれ?』


アイトの問いに、彼女も驚愕した表情を浮かべる。

そして彼女は血相を変えると、アイトを抱き上げ、今までにないくらい早く駆けだした。


『一体、どういう事なの……!観覧席が燃えるだなんて…!』


彼女が切羽詰まった声を上げる。

売店がある方と観覧席がある方は大分距離が離れており、観覧席の方から大勢の観衆が慌ててこちらに流れ込んで来た。

そんな人の波を、彼女は必死に縫って走る。

徐々に迫って来る熱気に、アイトは微かな眩暈を覚えた。

不意に、近くまで迫って来た火の粉に焼かれ、がらがらと崩れた柱にすぐ傍にいた人間が数人下敷きになる。

驚いてその方を見やれば、先程の親子の姿が視界に映った。

彼らはもう笑っていない。

けれど、胸がすく事は決してなかった。


『テレルさん!』


彼女がアイトの手を引いたまま、がれきに埋まった親子に駆け寄る。

途端に、ぐちゃぐちゃの赤が視界を埋め尽くした。

これではもう、助からないだろう。

彼女が強く奥歯を噛んだ。


『……あなたは、さっきの売店の方に行きなさい。そこならまだ火の手が回ってないから』

『あなたはどうするんですか』

『……探しに行かなくちゃいけない人がいるのよ。今頃、ちょうど私と同じ様に準決勝を突破して、陛下にお言葉を頂いているだろうから』


絞り出す様な声で彼女が言う。

彼女が出会って初めて、アイトの手を離した。


『……じゃあね。ちゃんとご両親の所に帰るのよ』


それを最後に。彼女は小さく微笑んで。

迷う事無く火の粉舞う道をかけて行った。


 その後姿を暫くぼんやりと見つめて、アイトも一歩前に踏み出す。

何故か、父と母を探しに行かなければと思った。

どうしてだろう。

彼らが消えた所で、自分の世界は回り続けるのに。


 幾ら考えても、答えなんて出ない。

そしてアイトは何とか瓦礫の間を縫い、貴賓席に辿り着いた。

この付近の火はもう大分収まっていて、黒く焦げた建物が残るばかりだ。

幾ら探しても彼女の姿は見つからなかったが、崩れた瓦礫の中に母の蒼いドレスの裾が視界の端にチラリと映った。

何故か。父を庇う様に。母の身体は瓦礫に押しつぶされていた。

その顔は、不思議と穏やかで。

アイトの世界は、一瞬で色を失い、急停止した。


『あなた、何でこんな所にいるの!』


不意に、先程まで傍にあった声が焦燥の色を持って耳に届く。

顔を涙でぐしゃぐしゃに崩しながら彼女は立っていた。

その手には、ボロボロになった朱色のリボン。

どうやら、彼女も会いたい人には会えなかった様だ。


『……ここは危険だって、言った、でしょう……!何で言う事を聞いてくれなかったのっ……!』


彼女が怒りとも悲しみともつかない顔で駆け寄って来る。

厳しい表情で頬を持ち上げられ、アイトはいつの間にか自分が地面に膝をついていた事に気付いた。


『……おかあさまが、つぶれちゃいました。おとうさまも、つぶれちゃいました。息、してないんです。体の半分がぐしゃぐしゃなんです』


ぼんやりと、そう呟く。

茫然としたアイトの頬に、ふと暖かなものが降った。


『……泣いているん、ですか……?』


ぼんやりと零れた問いに彼女は答えてくれず、たた無言でアイトの視界を覆う様にして胸に抱きしめた。

暖かな物が次々と頬を滑り落ちる。

それがいつの間にか彼女の物ではなく、自分のものになっている事だと気付くのに暫く時間を要した。


『……もう行きましょう。いつまでもこんな場所にいちゃいけないわ。さっき一応退路は確保したから、早くここから離れましょう』


小さな声で言って、彼女はアイトの体を抱き上げた。

けれど彼女が言う退路に足を踏み入れようとした時、崩れた瓦礫が見計らったかの様に落ちて来た。

花びらの様な赤色をして、ちりちりと舞う火の粉。

どしゃり。ばらばら。

舞う埃の中でやっと目をあければ、どうやら自分たちは瓦礫に埋められてしまったらしい事が分かる。

不幸中の幸いと言うべきか、彼女とアイトはちょうど瓦礫と瓦礫の間に出来た隙間に身を置いており、互いに命に係わる様な傷は負っていなかった。

それでも彼女はアイトを庇ったせいで体を強く打ってしまったらしく、しきりに咳き込んでいた。


『……生き、て……』


朦朧とした笑みを浮かべ、彼女がアイトの頬を撫でる。

そして彼女は静かに目を閉じた。

堪らなく恐かった。

彼女の息がまだあるのを確認して、その頬に落ちた涙をすくう。

父も、母も、もういない。

自分たちも、このままではいつ消えてしまうか分からない。

それでも良い様な気がする。

アイトの世界は生まれて初めて、これ程に満たされていた。

でも、彼女は生きてと言ったから。

彼女の泣き顔は嫌いじゃないけど、悲しませたくはなかった。


 それから三日間。

アイトは、彼女の涙を呑んで生き永らえた。

昏睡した彼女には、自分の血を飲ませた。

人というのは、存外図太いらしい。

兵士たちに助け出されながら、アイトは数日ぶりに見る青空にそっと目を細めた。

彼女はまだ眠っている。火の粉がかかったのか、長かった彼女の髪は根元まで焼き切れていた。

自分の庇ったせいで出来たうなじの焼け傷にそっと口づけ、家族に囲まれた彼女から静かに立ち去る。

彼女の涙の様に胸の奥で染みついた感情の解析には、もう少し時間が掛かりそうだった。

 後で聞いた所、火はどうやら、敵国の間者が放った物らしい。

そして、母は大嫌いな筈の父を庇って死んだそうだ。

 人というのは、難解で、不可解で、平気で嘘をつく。自分にも、他人にも。

けれど、全てが嘘だとは限らないし、嘘もつき続ければいつか真実に変わるのだと知った。


 それから過ぎた、澱の様な八年間。

多くの事が移り変わり、アイト自身も変わったが、彼女が作った染みだけは日々広がり続けるだけで、決して変わりはしなかった。

それを愛と呼ぶべきなのか、恋と呼ぶべきなのか、それとも別の名で呼ぶべきなのかアイトには分からない。


母の言葉通り父に良く似た自分は、やはり「正常な」感情を持ちあわせていなかった様だ。

だから、時折様子を聞きつつも、アイトは意図して彼女に会わない様にしていた。

勿論、彼女が言う「小さい」ままが嫌だったのもある。

しかし一番の理由は、やはり自分が父の様に、あの優しい人を閉じ込めてしまわないか自信がなかったのだ。

目を閉じれば、浮かぶ桜の中の彼女。

彼女が未だ独り身な事に安堵しつつも、アイトは今のままで良いと思っていた。

けれど、叔父の見合いの相手に彼女が決まったと聞いた時、ついに居ても立っても居られなくなった。

叔父の嗜好は知っているが、もし彼女が自分の叔母になる様な事があったら、間違いなく顔を合わせなくてはいけなくなる。

その時、彼女が他の男の隣で微笑んでいる事だけはどうしても嫌だった。


 ――そして。

こっそりとついて行った叔父のお見合いで、アイトは八年ぶりに彼女の顔を見た。

結構、面変わりしたなと思う。

でも、彼女はやっぱり彼女で。

変わらず、桜の中で笑うあなた。

誰よりも愛情深い彼女は、有ろう事か愛を信じないなどと口にした。

彼女はアイトが八年前の子供だと気付かなかったし、アイト自身もそれを教える気はなかった。

何を気にしているのかは勿論知っている。

もし自分の重たい片思い歴を教えればそれが薄まるだろう事も分かっていたが、折角の可愛い部分を失くすのはもったいないと思った。

彼女を悲しませたいわけじゃない。だけど、自分のためにウジウジといじけて、頭を悩ます姿はとても好ましかった。

勿論自分自身も彼女を手に入れるためならば暗君として史に名を残しても満足だったし、ちょっとお茶目をしたくらいで名声を取り返せない様な男に彼女を嫁がせる気もない。

幸い生まれつき器用だったし、口は達者だ。

 だから、愛(うそ)を吐き続けよう。

病める時も、健やかなる時も。

死が二人を分かつまで。

彼女が信じてくれる日まで。

甘い甘い彼女の涙を口にしながら。

自分のために一度は失った髪を撫でながら。


『あなたは僕をいつ逃がしてしまうのか心配ばかりしていますけれど。自分の足元に愛よりも、恋よりも重たい誓約(くさり)をついている事に気がついてはいないでしょう?――可愛い可愛いあなた。一生、意地汚く、欲張りに、甘い嘘を僕にねだり続けて下さいよ?』


(side.アイト fin.)

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おばさんをからかうんじゃありません! バナナたるもの @yukiji0122

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