23話「歓迎」

子爵家に戻り侯爵家との縁談がなくなったことを告げる。今後二度と侯爵家が子爵家に口出ししてくることがないことも。


エミリーは侯爵家に行った私をとても心配していたようで、子爵家に帰ったら泣かれてしまった。


私はキメラの群れに単身で乗り込んでも平気よ、心配なんていらないのに。


侯爵家から帰ってきた子爵は、意気消沈しそのまま寝込んでしまったそうな。


使用人から子爵が寝込んだ話を聞いたエミリーが、子爵の部屋に行き、私が身代わりで侯爵家に行ったことを教えた。


全てが終わるまでエミリーには屋根部屋に隠れていて欲しかったのだが、そういう事情なら仕方ない。


「本当にありがとうございました、魔女様」


「いいのよエミリー、あなが望まぬ結婚をしなくて良かったわ」


「私からもお礼を言います、魔女様は我が家の守り神です」


子爵が涙を流しながら頭を下げてきた。


「「「「魔女様、ありがとうございます!」」」」


使用人全員に頭を下げられた。こういうの慣れてないから照れくさいわ。


「魔女様の好きな、クッキー焼きます! マカロンとシフォンケーキとアップルパイとパウンドケーキも」


「本当?!」


エミリーが美味しいお菓子を作ってくれる! しかも一度に四つも! テンションが上がる!


「わたしは、魔女様の好きなお花を飾ります」


「僕は魔女様の好きな紅茶を入れます」


「魔女様の為に新しい家具を用意します」


「あたしは魔女様の為に編み物をします」


メイド、執事、子爵がそれぞれ感謝の意を示してくれる。


善意からの言葉は心地よい。


これでまた子爵家でエミリーの焼いた美味しいお菓子を食べながら食っちゃ寝生活を遅れる。


……とその前に。


「ある意味元凶といえる男を懲らしめないとね」


私の言葉を聞いてエミリーは首をかしげていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る