22話「巨大化」ざまぁ

「反省しているようね、ならこの子達を見張りとして侯爵家に置いていくだけに……してもいいかな〜?」


「「「「「ありがとうございます!」」」」」

 

お礼を言うのが早すぎるわよ「してもいいかな〜?」と言っただけで、「する」とは言ってないのだから。


「イイノ?」


下僕の一匹が聞いてきた。


下僕に言われなくても分かっている、こいつらは表向き頭を下げて謝罪するふりをしても、心の中でベロを出しているのだと。


「言っとくけど、元野良蛇だからって侮らない方がいいわよ。アインスツヴァイドライ、真の姿を見せてやりなさい」


「「「ワカッタ」」」


メキメキと音を立て、蛇たちが巨大化していく。


「ストーップもういいわ、それ以上大きくなるとこの家が壊れてしまうから」


天井に頭がつくほどの大蛇に変化した下僕を見て、皆一様に顎が外れるほど大きく口を開けていた。遺尿する者もいた。


「悪さをしたら、下僕があんたたちの頭を噛み砕くわよ」


もしかしたら丸呑みにされるかもしれないわね。


皆が青を通り越して白い顔でコクコクと頷く。


「退治しようとか愚かなことは考えないことね、あんた達が束になってかかっても敵わないほど私の下僕は強いわよ」


万が一に備え、上級冒険者が集団で襲いかかっても敵わないぐらい下僕たちをレベルアップさせておこう。


よく見ると可愛いし、従順だし、蛇たちに愛着が湧いてしまった。


「部屋で休んでるローザと、ここにいない使用人にも伝えるのよ『聞いてませんでした』なんて言い訳は通らないからね、侯爵分かったかしら?」


「はっ、はいィィィ………っっ!」


侯爵は真っ白な顔で首を高速で縦に振った。


「あっ、そうそう、子爵家から騙し取った持参金と結婚式の費用と新婚旅行の金も返しなさい」


「で、でも……あっ、あの金がないと、侯爵家が……」


「知らないわよそんなの、自分たちでなんとかしなさい。お金を返さないならこの子達の夕飯にするわよ」


下僕のよだれが侯爵の頭にかかり侯爵がブルブルと震える。


「タベテモ、イイ?」


下僕が舌なめずりした。侯爵の顔は真っ白で、口からはエクトプラズムが出ていた。


「かっ、返します! 全額耳を揃えて返しますっっ!! 命ばかりはお助けをっっ!!」


侯爵は号泣しながら、両手を合わせ命乞いをした。


アインスツヴァイドライ、元の大きさに戻っていいわよ」


蛇が小さくなると、全員がホッと息を吐いた。




 



ちなみに侯爵を尿管結石にするのは忘れなかった。


他の人間にもお世話になったお礼に、頭痛、リウマチ、腹痛、腰痛、痛風、幻聴、幻覚、寝るたびに悪夢を見る……この中から二つ三つランダムで選んでプレゼントしておいた。


プレゼントの効果はそうね……にしましょう。


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