13話「朝ごはんはネズミ入りスープ」
※※※グロい表現が有ります、ご注意下さい。
私の前に置かれたスープには、ネズミが浮いていた。
侯爵の母親が口元を緩ませ「召し上がって」と言ってくる。
ローザとメイド長と若いメイドと執事が、にやけ面で私を見ている。
こいつら全員ぐるか。
スープに浸ったネズミをよく観察する。侯爵家の残飯は美味しいらしく、まるまると太っている。
見習いの頃、「修行」という名のもとに師匠に荒野に置き去りにされたことがある。
食べ物の乏しい荒野で、ネズミはご馳走だった。
侯爵家の人間は嫌がらせのつもりで、スープにネズミを入れたのだろう。
残念ね、私にはその手は通じないわよ。
私はナイフとフォークを掴み、ネズミのお尻の肉を切って口に運ぶ。
ミディアムレアだ、もう少し火を入れた方が私の好みなので、屋敷の人間に気づかれないように炎の魔法を使い軽く炙る。
むしゃむしゃとネズミを
見れば侯爵と侯爵の母親と侯爵の幼馴染も、真っ青な顔で口を覆っている。
「うげぇぇっ!」
と誰かがおえつしたのをきっかけに。
「嫌っ、気持ち悪い……!」
「おえぇぇ………もう、見ていられませんわ!」
侯爵たちが先を急ぐように席を立ち、食堂を出ていった。
使用人たちが「うっぷっ……吐きそう、ネズミを食べるなんて信じられない!」「もっ……嫌、耐えられない!」「おげぇっっ、夢に出てきそう……!」と言って、口を抑えながら次々と食堂を出ていく。
だらしない奴らだ。
自分たちで仕掛けた嫌がらせで、自分たちが気分を害したのでは話にならない。
出されたネズミは美味しく頂いた。
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