12話「朝食の時間」
翌朝、若いメイドが私を起こしに来た。
私がすでに起きて身支度しているのを見て、驚いた顔をしていた。
夜中に部屋に蛇を投げ込まれ、泣きべそでもかいてると思ったのかしら?
お生憎さま、私を驚かせたいなら猛毒を持つバジリスクを五万匹は用意しなさい。
「朝食の時間だから呼びに来てやったわ! さっさと来なさい!」
とだけ言ってメイドは部屋を出ていった。
さて今日はどんな料理が出るのかしら、楽しみだわ。
食堂に行くと侯爵と侯爵の母親とローザはすでに席についていた。
椅子の足に昨日と同じ細工がされていた、ワンパターンな奴らめ。
ニヤニヤしながら侯爵がこちらを見ている。
私は転移魔法を使い、侯爵と私の椅子を交換した。
グワッシャァァァアア………!!
大きな音を立て侯爵の座っていた椅子が壊れる。
「ふぎゃぁぁあああっっ!!」
悲鳴を上げ侯爵がひっくり返った。
その間抜けな叫び声を聞くのは二回目ね。
「大丈夫! ビリー!」
「ビリー様! しっかり!」
急にひっくり返った侯爵を見て、侯爵の母親とローザが慌てふためいている。
「くそっー! 誰だ僕の椅子に細工したのは!!」
額に青筋を浮かべ頭に大きなたんこぶを作った侯爵が、眉間にしわを寄せ起き上がる。
侯爵が私を睨んでくるが、知らん顔して席についた。
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