第65話 対決
「とても健全で素晴らしい会社ですが、一ヶ所だけ不審な課があります、それは車両管理課です」会議室はざわめく。
「このグラフと数字を見てください、様々な会社のデータと比較しても明らかに変です、まるで測ったように20%経費が高いのです」城島はムッとした顔だ。
「そこで実際に車の整備工場や車を納車している会社に行って来ました。そして分かったのは、城島さんに言われて20%のキックバックをさせられているという事実です。そうですよね城島さん」
城島は立ち上がると「それは言いがかりだ、俺はそんな事は知らん」そう言い放った。
「そうですか……ではすみません入って来てください」指示すると先輩が会議室のドアを開けた。そこには元秘書課の秋山ミホが立っている。
「彼女は城島さん、あなたのやっている事を知った為にパワハラやセクハラの嫌がらせでやむなく会社を辞めたんですよね」
秋山ミホはゆっくりと頷いた。それを見た将輝社長は驚いている。
城島はガックリと椅子に崩れ落ちた。
「そしてもう一つあります、城島さんあなたは社長の命の恩人だと伺いました」
城島は少しだけ元気を取り戻す。
「でも、それは嘘ですよね……」僕は首を傾げた。
「何言いがかりをつけてんだ」城島は怒り狂った。
僕は淡々と話し続ける。
「高崎のあるホールの照明さんに話を聞きました、大島さんの事です、昔あなたと劇団をやってた方ですよね」
それを聞いた城島は口を開けたまま肩で息をして青ざめる。
「昔お金に困った劇団は、誰かお金を持った人を暴力団に扮して襲い、それを助けてお金を寄付してもらおうと企てたんですよね。その相手が将暉社長でした。社長、城島さんがあなたをかばって刺された時救急車を呼びましたか?」
「いや、面倒になるから知り合いの医者へ行くと運ばれて行った」
「そうですか、なんか変だとは思いませんか?刺されてるんですよ、そして血だらけなんですよ」
「そういえば大丈夫だろうかと思い不安になった事を覚えてる」
「あのナイフはマジック用のナイフで、血だらけだったのは血のりと言って嘘の血です、ですよね城島さん」城島はすでにグッタリとしている。
「大丈夫ですよ、このことはすでに会社の顧問弁護士の方に話してあります、さらにもう一つ、これは会社には直接関係はありませんが、15年ほど前にあなたは200万ほど横領しましたね、これもその時期にお金が入ったからと豪遊したことを劇団の人たちが教えてくれました」
僕は城島を指差して言った。「城島さん、まだまだ沢山ありますよ分かったことが、あなたはこの会社に寄生している寄生虫だ!速やかに退社することをお勧めします」
静まり返った会議室にじわっと拍手が起こり始め大きく広がる。
将暉社長も拍手を送ってくれた。
「これからも皆さんの努力がしっかりと認められるように、この診断システムをご利用ください」僕は一礼して席へ戻った。
駆け寄ってきた松本君が「ありがとうございます」そう言って握手を求めてくる。
その横を城島が弁護士に連れられフラフラと出て行った。
社長の将輝は元秘書の秋山ミホと話をしている。
「すまなかったね」
「いえ、社長お元気で何よりです」
将輝社長はその後、先輩と僕、秋山ミホさんを伴い食事へと出かけた。
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