第64話 (株)マサキの診断書

僕は半月ほど黙々とキーボードを叩く。そしてマサキ本社にも何度となく通うこととなった。

本社では冷ややかな目で見られる事も多かった、特に先輩は綾乃さんの彼氏と勘違いされてにらまれたりすることもあった。

しかし、その分僕が色々と調べることにはみんな協力的だ。

特に食品事業部新規開発課の松本君は、綾乃さんが会社にいた時に仲が良かったらしく、とても良く協力してくれた。

そして徐々に会社の状態がしっかりと数字に表れて来る。

ビックリするくらい健全経営で驚く。しかし一部所だけ不審な点が見えた。それは運輸部の車両管理課だ、あの運転手である城島が課長になっている。


「やっぱりそうか」そう納得する。


色々と話を聞くと城島の悪い噂が聞こえてきた。



最終的な診断書を作り上げるために、先輩と二人は高崎へ一週間程泊まり込んだ。

遂に出来上がった診断書を提出する日が来た。


大きな会議室には各部長や課長、役員たちが集められている。

先輩はプロジェクターに資料を映して説明を始めた。

課長や部長も自分たちの担当の説明が終わるとほっと胸を撫で下ろしている。


「えー……これからはここにいる橋口が説明いたします」先輩は席につく。


僕は深呼吸を一つして立ち上がると、プロジェクターに資料を映し説明を始める。

社長の将輝氏は少し不思議そうな顔をして見ている。


「新規開発課ですがここは特に優秀です、健康ブームもあると思いますが、新商品の幾つかは大ヒットしていて驚異的な利益をあげています。このグラフを見てください」ポインターでグラフを指す、周りから「オー」という声が漏れた。


「勿論他の協力があってこそですし、会社全体での努力の結果だと思いますが、素晴らしいと思います」


松本君は嬉しそうにガッツポーズをしている。会議室に拍手が起こった。



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