第46話 手の温もりが………
しばらく経つと二人はリビングへ戻ってきた。
「とっても気持ちよかった、湧水ってすごいね、温泉とはまた違った良さがあるわ」感動している。
「いや〜……気持ちよかった、お二人もどうぞ」満足げだ。
「無理ですよ!さっき告白したばっかりなんですから。
「手すら握ってないのに……お風呂を一緒になんて……」心臓が不整脈の嵐だ。
「私は一緒でもいいですよ」
僕は肩で息をしながらキッチンへ逃げて行った。
「いじめすぎると死んじゃうかもよ?……」
瑠美さんの一言で綾乃さんは僕の様子を見に来た。
「新さんごめんなさい、きげん直してください」
お酒と今日の出来事の大きさで気持ち悪くなった僕は、キッチンのシンクで「うっぷ」と吐きそうになっている。
「新さん大丈夫?」駈寄って背中をさすった。
「あのう……ゆっくり進んでいいですか…………」
「はい、ゆっくりとしっかりついて行きます」綾乃さんは嬉しそうに答えた。
綾乃さんと瑠美さんは和室の布団で寝た、僕と先輩はリビングで寝袋で寝た。
「新、お前この別荘を買ってよかったな」
「はい、僕もそう思います」
「この幸せ者!」そう言って寝袋にもぐりこんだ。
「おやすみなさい」僕も寝袋に入り込む。
和室の二人は布団の中で遅くまで話していた。
翌朝綾乃さんは4人分の朝食を作った。ご近所さんからいただいた野菜で高級旅館の朝食みたいな和食を作った。
「綾乃ちゃんの料理ってすごい!とっても美味しいわ」
二人は初めて綾乃さんの手料理に驚いて箸が止まらない様子だ。
「新、お前毎日こんな美味しいご飯を食べてるのか……」
「はい、とっても美味しいのでいなくなると困ります」
「なんだよ、もうのろけてんのかよ」
「ホント美味しいわねえ」留美さんも改めて綾乃さんを見て感心している。
「綾乃ちゃん、今度来たら綾乃ちゃん特製のディナーがいいなあ」
「はい喜んで」
「先輩、しょっちゅう来そうな感じですね?」
「そんなに二人の邪魔はしないぜ!」
4人は天空カフェの駐車場まで歩いて来る。そして帰る二人を見送った。
「台風がきたみたいだったねえ」
「でもこれでやっと恋人になれました」綾乃さんは微笑むと手をつないできた。
「綾乃さん、本当に僕でいいんですか?」手の温もりが嬉しくて少し恥ずかしい。
「もちろん、新さんがいいんです、新さんでなきゃダメなんです!」
二人はつないだ手をふりながら別荘へと帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます