第28話 恋の副作用ワチャチャ
その日は二人でパソコンに向かって仕事をしていた。
先輩から連絡が来てリモート回線を開く。
「おっ新、寂しそうにしているかと思ったら、意外に顔色がいいな」
「そうですか?送られてきた仕事はまもなく終わりますよ」
「相変わらず仕事早いな、それで次の件なんだけどさ、メールで資料を‥‥ん…
…ん!」
綾乃さんがコーヒーを入れようとして僕の後ろを通り過ぎた。
「今何か後ろを通り過ぎたよな?」
「ああ座敷童ですよ、気にしないでください」
「なんだそうか……ってそんなわけないだろう!誰か女の子がいるだろうそこに、誰だよ紹介しろよ!」大声で迫った。
「綾乃さん、ちょっと来てくれますか」
「はーい」
「話によく出てくる先輩です、こちらは別荘の前の持ち主のお孫さんで綾乃さんです、データ入力のアルバイトをしていただいてます」
「あっそういうこと?……初めまして村上仁ですよろしく〜」ピースサインをしている。
「初めまして、お仕事をいただいてありがとうございます、神崎綾乃です」ペコリと頭を下げた。
「うそ〜!!!すごい美人じゃないか、こんな人があの山里にいたのか、信じられないなあ」
「データの入力が多かったのでお願いしたんです」
「俺も気になっていたんだけどさ、結果よかったじゃん、こんな美人にバイトに来てもらえて。しかし世の中分からないなあ、あれだけコンパに連れて行ったのにお前は誰とも話さなかったじゃないか、しかし今こんな美人と普通に接してるなんて、いったい何が起こったんだよ」ひたすら困惑している。
「またお仕事あったらよろしくお願いします」綾乃さんはニコニコしている。
「大変だ、データ入力を大量に回さなきゃ」腕を組んで何度もうなずいた。
「新しい仕事も入力がありますか?」
「あるけど前回の半分くらいかな、すまん、事情を知らないからさあ、減らしてもらったんだよゴメン」顔の前で手を合わせあやまっている。
「大丈夫です、少しでもあったら続けてもらえるので」
「早く言ってくれたら増やして毎日来てもらえるようにしたのに」
「大丈夫でーす、毎日食事を作ってますから」綾乃さんは笑っている。
「えっそんなことも頼めるの?おい新一体どうなってるんだよ、説明しろ!」
「じゃあ仕事以外の時にゆっくりと」
「わ、わかった、引き続き仕事よろしくな」不本意そうに先輩は終了した。
「楽しそうな先輩ですね」綾乃さんは笑っている。
「楽しい人なんですけど、先輩が知ってしまうと何か面倒になりそうで怖いです」
「心配ないですよ私は」
「一緒に住んでることがバレたら大変なことになってしまうと思います」
「じゃあお付き合いしてるって言っちゃえばいいじゃないですか」最近ちょくちょく出演するようになった小悪魔が顔を出す。
「え〜!」僕は血の気が引いて青ざめた。
「新さんってかわいい……」
僕はリビングのテーブルに顔をうずめるとテーブルをたたきながら「あ〜……仕事が手につかなくなる」とプルプル震えた。
「ごめんなさい、ちょっと調子に乗りすぎました」僕の背中を優しくさすった。
顔をムクッと上げて「だからそれが心を締め付けるでしょう……小悪魔め!」と顔を伏せて震えた。
「よしよし」綾乃さんは小悪魔のままさらに強く背中をさすった。
僕の体は完全にオーバーヒートして、ピクリとも動けなくなった。
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