VR

バブみ道日丿宮組

お題:遅いぬめぬめ 制限時間:15分

VR

 VRゲームで受けた衝撃がフィードバックするというバグが最近発見された。そのため、VRゲームは停止勧告を受けた。未だに病院で検査を受けてる人が多いことと技術の見直しという観点が強いため。

 対象VR以外も停止したことにより、ユーザーの反発は大きかった。アップデート情報ばかりが出て、実際にプレイできないのはおかしいと腹を立ててた。

 私は対象VRゲームを体験したこともあって、後遺症に悩まされてたから彼らの気持ちはわからない。わからないのだけど、ゲームが再開したらやるだろうとは思う。

 それぐらいVRは依存症が強い。

「また一緒にやろうね」

 眠ったまま帰ってこない友だちにこんなことをいうのはきっといけないこと。親御さんに見つかったら出禁にされるに違いない。

「楽しかったよね」

 ゲームの世界はリアルと違って自由だった。禁則事項がない世界。リアルのギュウギュウ詰めの社会感がおかしく見えた。

 熱中に熱中を重ねて、私達はランカーと呼ばれる部類まで遊んでた。

 結果的に脳への負担、身体への影響は深刻になった。

 私が左目だけ未だにピントがあわないのはその影響。他の体験者と違ってまだ身体が動かせるのは不明点として医者から病院にいるようにと指示されてる。もちろん私は起きてこない友だちのためにも手伝うつもりだ。

 これによってVRも改善されるという話も聞いた。

 安全になったシステムなら、きっとあの時以上に楽しめる……はず。こればっかりは体験してみないことにはわからない。

 安全でなかったから楽しめた。そういう考えもあるけど、安全でなかったのがわかったのは人が起き上がらないという患者がでてきたからであって最初ではない。

「最近ね、右目もうっすらとしてきたんだ」

 水に入ったときのような視界のブレ。

 ぬめぬめしたものが世界を見れないように覆い隠し始めてる。

 医者がいうには後遺症の侵食がはじまったということだ。いずれ起き上がれなくなるのを親たちは心配してる。わからなくもないけど、リアルなんて起きてても仕方ない。

「……だよね」

 あの世界だけが私と友だちが平和で暮らせる世界だった。あの世界があったから学校の苦痛も耐えることができた。

 今私達が目覚めて普段と同じ生活を要求されたら、きっと変わってしまう。

「だからね。同じ世界に行こうと思うの」

 遅くなってごめんっていうために、私は旅立った。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

VR バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る