異国の王子
バブみ道日丿宮組
お題:そ、それは・・・王子 制限時間:15分
異国の王子
「それでこれはなんていうんだい?」
「えっと……その」
彼の接近に気がついたときにはもう遅かった。
音もなく忍び寄るってか……護衛もいらない滞在人ってのがよくわかった。日頃から親やお兄ちゃんの接近を警戒してる私が後ろに立たれるまで気づかないなんて……。
私の趣味は家族に露見してないし、友だちにもいえないもの。ただのゲームであればなんとかそういうものが好きな人種として誇れたかもしれない。
エロゲーが誇れないわけじゃない。
ただこれをこの国のゲームとして異国の王子に紹介していいものかと疑問の記号が頭を埋め尽くしてく。自分が見てるものが年齢制限があるゲームとは思わないだろうし……。
「んと、恋愛ゲームみたいなものです」
「ほう。この国には面白い文化があるんだね。バーチャルラブということか」
私の部屋で納得したかのように微笑む彼は凄く眩しかった。
ーーお兄ちゃん、早く帰ってきて。
いつもこの時間なら家で彼の相手をしてくれてるのに、どうして今日に限っていないの!? というか、王子様の相手をするのってお兄ちゃんの役割だったような……!?
「いい匂いがするね。これはこの国の香水かなにかかい?」
そういって王子様は部屋を物色。
明らかにプライバシーをズカズカと侵入してく図々しさがあるけど、それにたいして怒ったりできない。いや……お兄ちゃんなら追い出してくれるのだろうけど、私には良い対処法が浮かばない。
「えっと、えっと……たぶんこの国の女性なら発する匂いかと……」
ある特殊な体臭をごまかすために混ぜ込んだものとは口に出せない。あと……侵入を防ごうにも立ち上がるのは今すごくまずい。
いけないものがたっぷりと流れ落ちてしまう……そのぐらいにいろいろと大変。
「ーーは残る用事があるようで、われの対応を任せたとのことだがなにをしてくれるのだ」
ベッドに腰掛けた王子様はよくわからないことをいってきた。
なんのことだろうかとスマホを開いてみれば、一通のメールがきてた。
『急用が入ったから、王子の対応をしばらく頼む。くれぐれもお前が普段やってるゲームは見せないようにな』
「えっ……」
嘘……バレてた? おかしい。部屋に入れたことすらないのになぜわかるんだろう……。
「うん? なにか不思議な顔をしてるね? ……は君のことは頼りになると話してたけれど、違ったのかい?」
「……」
信用してくれて預けてくれたことはありがたいって思う……けど、電話か何か確実に連絡が取れる方法で……もう遅いけど。
「えっと、その……ここだとちょっとあれなので、リビングいきましょう」
その後部屋に残りたい雰囲気を出してた王子様をなんとかリビングで接客することができた。
このあとにお兄ちゃんにエロゲーを買ってもらったのは別の話。
うん、いろいろあったんだよ? 本当に、大変だった。
異国の王子 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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