第32話 エロ名所三人美女④



 リタからの不意のエロハプニングからの、天王洲さんからの不意のエロハプニング。そんなハプニングなら毎秒募集中の所ではあるけど、いかんせん気まずい……


 俺と天王洲さんが仲良く談笑中の所にリタがやってきて、いきなり一緒に帰ろうなんて言うから修羅場っぽいナニカが始まってしまった。二人の大きなおっぱいの感触を布越しだけど味わえたのは得したけど、それを行った事実を思い出して顔を真っ赤にしている天王洲さん。俺は頼んでもないし確実に自分が撒いた種なんだけど、そんな空気感に俺も気まずさを抱かずにはいられない。


「ねぇ……なんか話しなさいよ……」

「えぇ……」

「こーゆー時は……男の人の方から話題を振るのよ」


 こーゆー時ってどーゆー時なんですかね? 急に話し始めたかと思えば話題を振れとか言ってくるし。こんな空気感なら、早く仕事終わらせてリタと帰りたい。断じてリタと帰りたいわけではなく、この空気感を脱出できるならばやむ終えずリタと帰るのを許容するって話だ。


「天王洲さんのおっ……天王洲さんの天王洲さんは柔らかかったです」


 手元にあるお馴染みの青いファイルを持って

 俺に投げてくる……かと思ったら、今回はそれで自分の顔を隠していた。


「何よ……私の私って……意味わからないわ」

「意味が分からないなら、説明しますか?」

「い、要らないわよ説明なんて……! 意味は分かってるわよ……! でも分からないっていう……あぁもう……!」


 一人で悶々としてますね天王洲さん。そんな姿も可愛さの一つですよね。頭を抱えてさぞかし悩んで恥んでいるのだろう。


「こんなの……私の理想とは違うに……」

「理想?」

「これじゃまるで……私が西宮くんを好きみたいじゃない……」

「え?」


 え? 違うんですか? 薄々は、なんとなくは、ほぼ確実に俺の事は好いているとは思ってたんですけど。じゃなきゃあんな事にはなってなはずだし、好きだからこそちょっぴりジェラシー感じちゃって大胆な行動に出ちゃったんじゃないの?


「私は口説かれたいのに……」

「好きです」

「違うの、タイミングが今じゃないのよ……もぉ、バカ……!」


 何も言えなくなるととりあえず罵倒するのやめてもらっていいですか? いや、ご褒美にもなるからやめないでください。でも流石に、キッカケがアレで、それから少し絡むようになってこの感じって、天王洲さんって案外チョロかったりする? 男性経験無いからむしろ攻略楽な感じ?


「いや、告白っていうか、思ってる事を素直に口にしただけです」

「だから西宮くんの言葉には特別が無いのよ……!」

「俺はこんな事、天王洲さんにしか言いません」


 現に、俺は好きって言葉を天王洲さんにしか言っていない。みんなの憧れの的である天王洲さんに恋焦がれて、衝動的に告白をした。結果的には振られてしまったけど、俺の立ち回り次第ではどうにかなりそうで、そんなひょんな事から絡むようになってから、留学生の美少女、リタと行きつけの喫茶店の孫娘の瑞樹にも出会った。二人とも美少女な事には変わりないけど、心に決めた訳じゃないけど口説くと約束した相手がいるから、その言葉は必ず彼女だけに向けてきた。


「あ、いたいた。中也帰ろう」

「え?」

「え……?」


 まったく予想もしていなかった。予想もしていなかったってより、予想できるはずもなかった。だってその声の持ち主は俺は知っていても、ここの学校の生徒では無いし、本来そこには居るはずのない美少女なのだから。


「なにボーッとしてるの? 今日は中也の好きなショートケーキを作ろうと思うんだ。だから早く僕の家に行こうよ」


 瑞樹が、加隈瑞樹がやってきた。他校の生徒であるはずの瑞樹がここにいて、そんでもって一緒に帰ろうよりも更に上の、僕の家に来ないか発言をしてきた。

 瑞樹的にはただ、作ったケーキの出来の感想が欲しいって所だろうけど、事情を知らない人からしたら……


「西宮くん。納得できる説明が欲しいのだけれど」

「いや、違うんですよ天王洲さん……!」

「君が天王洲っていうんだ」

「すみませんが、貴女は?」

「初めまして。僕の名前は加隈瑞樹。中也もらってくね」

「ちょっと待ちなさい。貴女と西宮くんの関係は?」

「僕と中也の関係? 下着を見られた仲かな?」

「西宮くぅん……?」


 事実だけど事実じゃない……



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