第23話 崩壊道五十三次②
さてさてさーて、この問題をどう解決しようか。家に帰ってから考えていたけど、それが全く思い浮かばない。ってかそもそも、リタと同棲してる事がバレてしまったのは色々弊害がある。
「天王洲さん、腹いせに言いふらすとかしないよね……」
天王洲さんは、彼女はそういう事をしないとは思っている。けど、少しだけ不安もある。同じ高校に通う血の繋がりの無い生徒同士が一つ屋根の下で同棲してる。一人は冴えない男で一人は見てくれは超絶美少女。羨ましがられて嫉妬心丸出しにされてイジられいじめられて孤独な学校生活を味わうハメになりそうだし。いや、今でもそこそこ孤独ではあるか。
とにかく今はそっちの懸念は頭の片隅に置いといて、天王洲さんにどう説明して謝るかが問題だな。そもそも話を聞いてもらえるかも分からないけど、生徒会の仕事があれば嫌でも同じ空間にいなきゃいけないし、チャンスはそれくらいだろう。
俺は不安と焦りを抱きながら、ついでにリタが久しぶりに部屋に突撃してきたのを対処しながら、明日に備えて眠りにつく事にした。
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クラスでは特に問題は無かった。ってことは天王洲さんが俺とリタの事を言いふらして無いって事になる。とりあえずそっちの心配は無くなったとして、あとは天王洲さんとの直接対決。
放課後の生徒会が勝負の場所だ。足取りはすごく重い。正直こんな事で悩みたくないし天王洲さんとの関係も壊したくなかったけど、起こってしまったのならもうしょうがない。しょうがない事だけど、この扉を、目の前の生徒会室の扉を開けるのが億劫で仕方が無かった。
「はぁ……」
「何してるの? 扉の前に立たれたら邪魔なのだけれど」
「え、あ……すみません」
後ろから声をかけられた。その声音にはトゲトゲしさが垣間見れたが、間違いなく天王洲さんの声だった。そのまま勢いで道を開けて、天王洲さんがすぐに生徒会室へ入っていく。その後を追うようにして俺も生徒会室の中へと入ったが、依然として空気は重たくて、何を話せばいいのか、どんな話題から切り出せばいいのかも分からないでいた。ただ、黙々と生徒会の仕事をこなすだけだった。
隣をチラッと見たけど、天王洲さんは見た目からはあまり変わらない様子で仕事をしていた。こんな事が無ければ、普段ならすぐに話しかけて話題を振って会話をしているけど、そんな気軽さは返って逆効果になりかねない。慎重過ぎても、何も話せないの八方塞がり。
「何をずっと黙っているの?」
「…………」
「今日は大丈夫よ。言い訳くらいは聞いてもあげる」
「え?」
「西宮くんに二股をかける度胸なんてあるわけないし、何かしらの事情があるのは考えれば分かる事だわ。それでも、あの日、あの時、あの場所では突然過ぎて冷静な判断ができなかったけれど。だから、私が納得できないにしても筋が通った説明をお願いしたいわ」
「えぇっと……」
情状酌量の余地はあり、されどブチギレてますって印象だな。だけど、会話をするチャンスはやってきた。ここでちゃんと誠心誠意心を込めて謝罪すれば、まだ間に合うかもしれない。
「とりあえず、俺とリタの関係性からですかね……」
「どこからでもいいけど、ちゃんとした説明を」
「はい。リタと俺は確かに一緒に暮らしてます。けど、俺たちが付き合ってたりやましい関係だったり、許嫁だったりみたいな関係ではありません」
「それで?」
「元々親同士が仲良かったみたいで、昔に一度だけ会った事がある感じです。幼馴染ってゆーか、二度目ましてなくらいで、正直天王洲さんとの関係性の方が長いです。うちに来たのも、留学するがてらって感じで親同士が決めたんですよ」
「それで、そのリタさんはどうして西宮くんに好意を抱いているのかしら? 普通に考えてる、会って間もないのにあれ程の感情を声高々と言えないと思うのだけれど?」
「それはリタの家の事情に関係してるってゆーか……それは俺が勝手に言えないってゆーか……」
「政略結婚の話、やっぱり西宮くんが相手だったんじゃない」
「…………」
速攻でバレました。まぁ、それは仕方ないっちゃ仕方ないよな……あの時だって無理やり誤魔化した感じだし、けどそれが知られてしまったなら、話は案外早いのかもしれない。
「まぁ、だからリタとしても俺に本気の恋心って訳じゃないんですよ。その為に自分の春を売るような事をしてるって感じで」
「そう」
「だから無下にもできないのが本音です。何かしらの力にはなってあげたいんですけどね。でも、俺には天王洲さんがいるのでリタの本当の願いは叶えてあげられないですけど」
「私を選ばなければ済む話じゃないかしら?」
「え……?」
「彼女、リタさんも充分に可愛い子だと思うの」
「別に可愛い子と付き合いたいわけじゃありません」
「でも、私の事可愛いって言ってたじゃない。アレは嘘って事かしら?」
「好きになった人がたまたま可愛かっただけです」
「そう……」
「だから、俺の気持ちは天王洲さんに向いてるんです。だからリタに靡くはずがないんです」
「デートは、したの?」
「え?」
「リタさんとデートよ。あの時私はアドバイスしたじゃない? 口説かせるくらいだから、もうデートとかはしたのかなって純粋な興味よ。そう、これは興味なの。別に嫉妬してるとか私を選んでおいてとかこれっぽっちも思ってないの」
「めちゃくちゃ分かりやすくキレますよね、天王洲さんって……デートはまだしてません」
「そう。でも、デートはしなさい」
「え?」
「私が言った手前もあるし。それに、西宮くんにチャンスをあげるわ」
「チャンス?」
「私に対する気持ちが本物って私に見せつけなさい」
「天王洲さんに対する気持ち?」
「えぇ。今後、もしこのような事が起きても私が落胆しないくらいに、私に向いてる気持ちが本物だって証明しなさい」
天王洲さんからチャンスを貰った。けど、チャンスはピンチだ。これをしくじったらもう本当に後が無い。だから俺は、全身全霊をかけて天王洲LOVEを証明しなければなくなった。
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