第7話 見返り奇人図④
扉を開けるとそこには美少女が座っていた。いつも通り机に向かって何かの書類を作成していて、毎回そんなに作成する書類ってある? 社蓄なの? って疑問は一旦置いておくとして。
彼女は、天王洲愛瑠は凛として座っていた。
「こんにちは、天王洲さん」
「こんにちは、西宮くん」
「天王洲さんに聞きたい事があるんですけど」
「履いてるわよ」
「あの……実は聞いて欲しいって事ないですかね? 毎回下着履いてるか履いてないかを」
「そ、そんな訳ないじゃない……何を言っているのかしら……」
俺が聞きたい事あると、毎回天王洲さんの第一声は履いているだった。別に俺は常日頃から天王洲さんがパンツを履いているか履いていないかを考えている訳じゃない。なんなら、毎日ずっと履いてないって思ってる。だってその方が夢があっていいじゃん?
「まぁ、パンツ履いてる履いてないじゃなくて、シンプルに相談があるんですよ」
「相談?」
「はい。あ、これは俺の友達の話なんですけどね。なんか知り合いの女の子から迫られてる見たいで」
「迫られてる?」
「付き合って欲しい的な、そして突き合って欲しい的な」
「なぜ2回言ったのかしら?」
そこはまぁ、言葉では伝わりにくいニュアンスの問題なのでそこは気にしないでください。
「重要な事なので。んで、まぁその友達的には好きでもない相手と付き合うつもりはなくて、けど、その相手も父親が決めた結婚相手と結婚させられるって話で、多少の同情の余地があるかと」
「その友達はどうして、付き合うつもりはないの?」
「好きでもない相手と付き合いたくないって理由と、心に決めた訳ではないけど、口説くって言った女の子がいたらしくて」
「……そう」
「だから、どうすればいいんですかねって話で。引き受けるとその子は救われるかもしれないですけど、口説くって言った相手には失礼じゃないですか? けど、口説き相手を選ぶと相手の子が逆に報われないですし」
「その友達は、どっちの子が好きなの?」
「どちらかと言えば、口説くと言った相手でしょうか。けど、中途半端な気持ちなのは確かですね」
「一つだけ、思う事があるわ」
「なんですか?」
「それ、西宮くんの話よね?」
「違います。俺の友達の話です」
「何よそれ」
しばらく沈黙。なんか速攻でバレてるんですけど。けど、これはあくまで俺の友達の話ですからね?
「だって俺なら、天王洲さんが履いてるか履いてないかしか考えてないです。そんな事考えてる余裕無いですから」
「それはそれでどうなの?」
「ちなみに、今日のパンツの色は?」
「教えないわ」
「いいじゃないですか。減るもんじゃないですし」
「普通は教えないものだから」
普通は毎日パンツ履いてるもんだと思うんですけど、そこら辺はどうお考えなんですかね?
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