第2話 謎の検索履歴と出会い

Vチューバーという存在は。

正確に言えば男性や女性が女子高生、男子高校生の様な格好をしたまたはそれ以外の何か色々なものに声当てをしたキャラクターが活動するものをいう。

因みに幼馴染がVチューバーになると決意してから1日が経過した。


何か変化があったかと言われたら何も変化が無い。

俺は考えながら.....夜寝てから。

起き上がってみる。

それから欠伸をした。

つまらない学校生活がまた始まるな.....。


「しかしそれはそうと昨日の義妹は衝撃的だな」


思いつつ俺は横を見る。

そこに.....開け放しにした様なパソコンが置いてある。

え?俺確かログアウトして閉じた筈なんだが。

考えながら俺はベッドから眠気まなこで起き上がり.....そのままカチカチと動かす。

すると.....検索履歴に、エッチな事で気持ちよくなるには、と書いて.....は?


「は?」


え?ちょ。

何これ?

誰が検索したのこんなの。

俺じゃ無いぞ少なくとも、だ。


いやだってそうだろ。

俺は確かにエッチだが検索欄を消すぞ必ず。

母親とかに見つかったらえらい事になるしな。

考えながら俺は顎に手を添える。


だが時計を見て時間が無いと思ってから動いたので.....そのままその事は忘れてしまったというか。

そのまま慌てて消してしまった。



「ふあ.....眠い.....」


考えながら俺は登校をする。

基本的に遅い時間帯に。

何故かといえばそうだな。

クラスメイトに会いたくないしな。

それでコソコソ登校しているのだが、と思っていると。


「ふああ.....海斗おはよう」


「.....あれ?珍しいなお前。何でこの時間に登校しているんだ」


「.....私だって遅刻はするよ?.....それにこの時間だと海斗居るし」


目の前の曲がり角。

そこから黒髪のポニテの胸の大きい女の子が出て来た。

八重歯が特徴的で.....シュシュをしている。

つまり簡単に言えば美少女であるが。

コイツが幼馴染の妃だ。


「おいおい。でもそれでも珍しくないか?お前が遅刻寸前とか」


「Vチューバーの準備をしていたの」


「本当にやる気かお前さん」


「当たり前じゃん」


「マジかよ」


俺は額に手を添えながら。

その事に、うーん、と悩む。

?を浮かべる妃。

俺は歩き出しながら妃に向いた。


「お前の様な可愛らしい女の子が悪い男に引っ掛かるのが不安だよ。お父さんは」


そんなジョークをかますと。

何故か知らないが妃は目をパチクリして赤くなった。

え?、と思いながら、妃?、と聞く。

すると耳まで何故か真っ赤にしていた妃が、アハハ。ゴメン。ね。寝不足っぽい、と曖昧な返事をしてきた。

ジョークを言ったら返事をするのがコイツなのだが。

珍しいこったな。


「妃。Vチューバーの準備は何処まで進んだんだ」


「私?そうだね.....えっとね。キャラクター作成まで」


「そうか。アテレコは家から?」


「お金無いしね」


「.....そうか」


しかしそれはそれで何だか楽しみだな。

名前とかも決めてないよ、と歯を見せて笑顔を浮かべる妃。

そうなのか、と思いながら歩く。


そうしていると.....目の前に中学生ぐらいの女の子が何かを探している様な姿を見せていた。

俺達は顔を見合わせて時計を見る。

しかし困った子を放っては置けないな。

と思い声を掛けた。


「どうしたの?」


「.....え.....。あ。すいません。.....定期を無くして.....しまって」


顔を上げる女の子。

というか相当な美少女だった。

何故かといえば白い髪の毛だが.....清楚感がある。

そして.....顔立ちは完全な日本人の女性的な感じだ。

凛としている。

俺は赤くなりながらも、そ。そうなんだ。探そうか、と返事をする。


「一緒に探してくれるんですか」


「ああ。どうせ遅刻だしな。俺達は」


「ソウダネ.....」


「.....妃さん?どうなさった」


「.....べっつにー」


頬を膨らませてプイッと横を向く妃。

どうしたんだよオイ。

思いつつ目をパチクリしながら俺は探し始めた。

草むらとかを探してみる。


「お優しい方もいらっしゃって嬉しいです」


「.....まあ俺は優しく無いけどな。普段は」


「コラ海斗。そんなにデレデレしない」


「.....は、はい」


「もー」


妃が目を細めていてなんか煩い。

どうなっているのだこれ?

と思いながらも探す。

すると歩道の隙間に定期券が落ちているのに気が付いた。

俺は拾い上げてそれを渡す。


「これか。あったぞ」


「そ!それです!有難う御座います!」


「.....そうか.....良かった。.....じゃあまあ気を付けてな」


俺達は探していて手に付いた砂を払いながら。

そのまま笑みを浮かべて立ち去ろうとした。

するとその少女が声を掛けてくる。

すいません、との様に。

俺達は、え?、と振り返る。


「あの。お礼をさせて下さい」


「え?いや。良いよ。俺達は偶然出会っただけだしな」


「.....そんな。悪いです。お手間を取らせたのですから。しかし今は何も.....ですからこれ。私の特別な名刺です」


「.....名刺.....?」


それぞれ受け取るとそこには。

エンターテイメント所属の鈴見ユリ、と書いてあった。

俺達は顔を見合わせる。

そして、有名人ですか?、と聞いた。

鈴見さんは、いえ。あまり有名な人じゃ無いです、と答える。


「特別な名刺です。.....普段は人に渡さないです。.....でも貴方様方はお優しいのでお礼の為に特別にお渡しします」


「.....有難いな」


「だね。海斗」


「本当に有難う御座いました.....今はそれだけで。.....失礼します」


それから去って行く美少女。

もう会う事は無いだろうけど。

それでも.....こういう名刺を貰うって事が有難いよな。

考えながら妃を見る。

妃は顎に手を添えていた。


「でもどっかで見た様な?.....かなり有名な人かも」


「.....え?」


所属事務所がエンターテイメントしか書かれてないのもおかしいしね、と妃は言う。

っていうかそんな事よりも時間が無い。

俺は、妃!そんな事より時間!、と言いながら歩き出す。

このままでは担任にぶっ殺される。

思いつつ駆け出した。


「うーん。何処で見たんだろう」


「そうだな。お前が見たんなら見た事があるよな。お前記憶力良いしな」


とにかくは学校だ。

俺達はそんな会話をしながら駆け出して。

そして担任にぶっ殺されそうなぐらい怒られた。

そりゃそうだけどさ。

他人を救っていたのにこの仕打ちは無い、と思ってしまったが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る