ヴィーニャ・ヴェラモンテ
『ソーヴィニョン・ブラン・レゼルヴァ・カサブランカ・ヴァレー
2020
ヴェラモンテ』
チリ・カサブランカ・ヴァレーに位置するオーガニックワイナリー。
この地域のワイナリーの先駆者的存在だろう。
実際に僕が直接修行したワイナリーでもある。
この年は違うが、まあ細かいことはこれから語っていくので、とりあえずボトルを開ける。
スクリューキャップであり低価格帯ワインなので気軽にグラスに注いで楽しめる。
柑橘系のスッキリとした香り、味わいはハーブのような青さを感じさせる。
グレープフルーツのように甘さと苦味を感じるかな?
ニュージーランドのようなパッションフルーツの感じとは違うが、これはこれで暑い日に冷やして飲むと良いと思う。
『アボカドとサーモンのマリネ』
このワインと合わせるなら、定番ではあるが生サーモンだろう。
チリ産サーモンは日本でも手に入れやすいと思う。
赤タマネギ、アボカド、トマト、サーモンをチャチャっと刻み、盛り付ける。
モッツァレラチーズを飾り、レモンを絞る。
塩をふりかけ、ブラックペッパーをガリガリとしたら、バジルを散らして、オリーブオイルで完成だ。
スッキリさっぱり味だが、オリーブオイルとサーモンの脂が味わいにコクを出している。
そのまま食べれば、生タマネギのあの独特の鼻に来る感じもある。
これも暑い日によく進む。
当然、このワインとの相性も良い。
スッキリとした酸味がサーモンの脂を洗い流して口の中もさっぱりとさせてくれる。
レモンとバジルを控えめにしたので、ワインの味わいもマリネとよく絡み合うかのようだ。
この組み合わせはバッチリと予定通りだ。
マリネは食事の前菜であり、スタートとしては良かったのではないだろうか。
☆☆☆
バスは大都市サンティアゴを出発し、郊外を走る。
高いビルがそびえ立っていた景色も、低い民家が多くなり、緑はやや見えるが乾燥した茶色い大地となった。
途中の道々には小高い山や丘があり、次々と通り過ぎていく。
幹線道路をバスはゆっくりと走り、サンティアゴを出れば交通量は一気に減って流れが良くなり速くなった。
途中のバス停では謎のお菓子の売り子が乗り込んできて販売する。
誰かが買っているようで、次のバス停で降り、また次のバスに乗り込むのだろう。
そのようにして、目的地となるバス停の看板が2km先と見えると同時に、ぶどう畑に囲まれる巨大な建物が見えた。
案内の看板があり、僕の訪れるワイナリー『ヴィーニャ・ヴェラモンテ』と書いてあった。
ここのバス停で降り、僕はひとりぽつんと幹線道路の横に立っていた。
そして、少し通り過ぎてしまったのでワイナリーのあった建物の方角を目指した。
しかし、日が照りつけるを超えて刺すように暑い。
わずかな距離とはいえ、大荷物を持って歩くにはなかなかキツい道のりではある。
アスファルトもなくなり、途中からはぶどう畑を横目に土煙の舞う未舗装路を歩く。
そうして、ついに到着した。
が、どこへ行けばよいのだろうか?
僕はまだチリに到着したばかりで、現地のSIMカードですら手に入れていなかったのだ。
つまり連絡手段がなかった。
とりあえずワイナリーへ行ってみよう。
こちらのワイナリーは観光客の受け入れもしているので、正面からの道のりもヤシの木などを植えたりして、ガーデニングも見事なものだった。
当然ながら、ワイナリー本体にも圧倒されるものがある。
観光スポットとして十分だろう。
僕はそんなところに汗まみれで汚い格好だったわけだが、堂々と警備員に話しかけに行った。
屈強な体格をした門番のような警備員だ。
しかし、何を言っているのか全くわからない。
それもそうだ。
チリだからスペイン語なのだ。
とりあえず、インターンで来たというようなことをスペイン語のようなもので気合で伝えた。
伝わったかどうかは分からないが、とりあえず『待て』の合図を手で出され、僕は大人しく待った。
少しすると、誰かがやって来て、警備員と交代し、警備員は僕を連れて歩き出した。
向かう先はワイナリー内の端っこにある小屋のような建物だった。
わかりやすくいうと、部室棟のような造りかな?
警備員はそこのドアをノックした。
すると、寝ていたのだろうか(すでに昼は過ぎている)、中から若い男が現れた。
スペイン語で話をし、警備員は去っていった。
「よう、インターンで来たんだって? オレもだ」
男は英語を話すことができたので、僕たちは握手をして自己紹介をした。
男はチリ人で、遠く離れた街から来たそうだ。
他にもアルゼンチンからの若い女性も来ていた。
仕事の上司となる責任者はこの日は休みでいないということらしく、とりあえず好きに使っていいということだった。
何とも適当というか、おおらかというか……
セキュリティを心配してしまったが、ここにたどり着くまでに疲労が限界を超えていたので、僕はすぐに空いているベッドで泥のように眠った。
やがて、日が暮れると一気に寒くなり、僕は目が覚めた。
時差ボケか、疲労が抜けていないのか、まだまだ眠り足りなかった。
とりあえず、外に出てみると、他のメンバーも続々と集まってきていた。
ほとんどはチリ人で、メキシコ人もいた。
僕以外はスペイン語圏の住人だが、みんな英語が多少なりとも話せたのが僕にとって救いとなった。
お互いに初顔合わせとなり、ようやくスタートラインに立ったわけだ。
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