第40話 星と月
「わーっ!
「
神主である、
「
「おい、
「だってよぉ、俺、
「そんな縁起でもないこと言うんじゃねえよ! そんなこと言われたら俺だって……ううう」
「お疲れ様です。あなたは普段、どういったお仕事を?」
「み、
「そうですか。製造業の景気は、あまり良くないと聴きますが」
「それがですね、最近、機械部品の需要が猛烈に高まっているんです。我々のような職人が手作りしないとできないような、ものすごく精密な部品を、大量に必要とする会社があるそうですよ」
「なるほど。そういえば、最近、配達用のドローンをよく見かけるようになりましたね。そのためでしょうか?」
すると、別の男が割って入って来た。
「いえ、確かにドローンの部品も作っていますが、我々が言っているのは、もっと大きな部品です」
「大きな? ドローンは直径50センチほど。十分大きいではないですか」
「それよりももっと巨大な。そうですね、アニメのロボットの部品みたいな、そんな感じですね」
「ああ、そうだそうだ。ありゃロボットだぜきっと! わはははっ!」
腕を組みながら顔を見合わせて笑う男たち。その様子に、
「ふふふ、不思議ですね。でも、面白いじゃないですか」
「そうですね。我々も楽しんで作っています。組み合わせたら何になるのかって」
「ああ、かっこいいロボットに合体するんじゃないかって」
「それはワクワクしますね。では、これからもよろしくお願いします」
「「はい!
「最近、うちみたいな小売業が、どんどん縮小しているんですよ」
「まぁ、それはどうしてでしょう?」
「あの
「なるほど。でも、ドローンを使った配送は、
「確かにそうですが、悔しいんですよね。こないだ息子が、俺の仕事を気にかけて、あのドローンに石を投げたんですよ。そしたらあのマシン、寸でのところで石をかわしたんですよ? AIがいくら優秀でも、そんなことできるもんなんですかね? 絶対怪しいですよ。きっと、安い人件費で派遣でも使って操縦させてるんでしょう」
「ははは……人が遠隔操作しているとしても、石ころをかわすのは難しいと思いますが。それに、世界中を飛び回る大量のドローン、ひとつひとつに操縦者がいるなんて、それこそ非効率的なんじゃないですか?」
「まあ、わかっちゃいるんですがね。
「ありがとうございます。でも、無理はなさらないでくださいね。大丈夫、
「ありがとうございます。いやあ、やっぱり
会場の中で幾度となく話題に上がる、
「
ホールの楽屋で帰り支度をする
「お母さま、大丈夫です。みなさまとお話しできて、元気がもらえました」
「なら良かったわ」
「それと、みなさまから
メルリアは一瞬驚いた表情を見せてから、口元を手で隠した。
「ふふ、あなた、疲れてるだろうに、
「そうですか。気付きませんでした。でも当然ですよ。あの子は、私の太陽ですから」
「まあ、無理だけはしないでね。私も引き続き、探ってみるから」
メルリアは
「
「そんな、私はこのお仕事大好きですよ。早く戻ってきたくて、ウズウズしてたんですから」
9月、声優の活動を再開した
「この度は、そうそうたるメンバーにお目にかかれて、とても光栄であります。我々、
それは、ドローンから変形する、少女型のロボットが戦うアニメで、
「やだ、私、人型に変形しちゃったの? ひどいなぁ、ドローンをロボットなんかにするなんて……」
ブランクを感じさせない
「お前たちは、宇宙からの侵略者と戦うために、その姿を与えられたのだ!」
「いやでも、人型になる必要なんてなくない!?」
そうして、第一話のアフレコは滞りなく完了した。
「お疲れ様でしたー!」
皆がスタジオを去ろうとしている中、
「あの、吉田様」
「これはこれは、
「いえ、私も早く仕事に復帰したいと考えていたので、ありがたかったです」
「ははは、そう言っていただけると光栄です」
白い歯を見せて笑うプロデューサーの前で、
「でも……私は
その言葉に、プロデューサーは顔色ひとつ変えずに答えた。
「いえいえ、
「はい。それは私も同様です。それで、折り入ってお話があるのですが」
「なんでしょう?」
「この際ですから、私どもと
プロデューサーは一瞬言葉に詰まるが、すぐに不敵な笑みを浮かべた。
「わかりました。会長の
「いえ、私はそんな大層な人間ではありません。まだ20代の小娘ですわ」
「ふふ、ご謙遜なさって。あなたの一声でどれだけの人間が動くか、それを鑑みれば、お受けしないわけにはいきません」
「よろしくお願いします」
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