第25話 ノートの力
二学期の期末テストに向けて動き始めた私。家では
そして、二学期期末テストの前日。
「あの、
「はい?」
「
ノートの束を差し出す私に一瞬キョトンとした
「そうですか!
そして、彼女は私が持っているノートの束を受け取る。
「確かに受け取りました!」
朝礼のチャイムが鳴った。
その日の昼休み、
「ねえ、
それは以前、私にヒカゲというあだ名をつけていると言ったヨーコさんだった。
「ん、何?」
「最近さあ、ヒカゲちゃんとよく話してるよね?」
「うん、そうだけど? ヨーコも話してみる?」
「いやー、それはちょっと」
「すごくいい子だよ?」
そこに別の女子が現れた。
「
「あ、リカ! リカも
「説得って何を?」
「ヒカゲちゃんのこと」
「あー、あのね、
「なんで?」
「あんな暗い子と話してると、ハブられるってことだよ」
「リカ……」
「そうそう、それと、幽霊のヒカゲちゃんに取り殺されるかも!」
「ヨーコ、それ、本気で言ってるの?」
「だって、話しかけてもヘラヘラしててキモいし、絶対ヤバイよあの子!
「そうそう、
「いい加減にしてくれない? 人のことを幽霊とかキモいとか、言っていいことと悪いことがあるよ!」
「み、
「大体、幽霊なんているわけないでしょ! バカなんじゃないの!?」
そして次の日、二学期の期末テストに臨んた私は、抑えきれない自分の力に打ち震えていた。
(わかる! わかるよ!
問題を見れば答えが浮かぶ。その快感に酔いしれながら、私は迷うことなく答案を埋めて行った。
テスト初日に手応えを感じた私は、テスト後すぐに帰宅して、次の日の科目の復習に勤しんだ。
全てのテストが終わった時、私はふと、我に返ったように思い出した。
(
帰宅する
そして、期末テストの結果は――
(私が……一位?)
思いがけず、私は学年一位の成績を納めていた。しかし、次の瞬間、彼女の名前が無いことに気付く。
(
教室に戻ると、
「
「次があるよ!」
皆口々に
「ごめんなさい、トイレ行ってくるから」
周りの生徒をかき分けるように、
その日の放課後、私は待ち構えていた。
「やっぱり、こっちに来てくれましたね」
校舎の影の中、東門で。
「
「
疑問形の語尾とは裏腹に、私の手はしっかりと彼女の手首を掴んでいた。そして、以前彼女がそうしたように、私は彼女を公園のベンチに座らせた。
「
私は地面に跪いて手をつき、額を深々と下げる。そう、土下座の姿勢を取っていた。
「や、やめてくださいっ! 決して
「現に点数が下がったじゃないですか? 私にノートを貸してたから復習できなくて、それで点数を落としたんですよね?」
「ち、違うんです!」
「何が違うんですか? あなたのお陰で私は学年一位になれました。だけど、あなたの成績を犠牲にしてまで一位になっても、嬉しくありません」
「本当に、違うんです。テストに集中できなくて……」
「集中できなかった?」
目を丸くした私を前に、
「じ、実は……」
私には、
「こ、これって……」
「
言葉は出なかった。
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