第23話 怒りの課題
高校時代、私に興味を持ち、接触を試みた
時は流れ、一学期の期末テスト。またもや学年一位となった
「また、負けた……」
数学の点数は、
夏休みの間、数学の勉強に明け暮れた
(この席、
「100点……!」
「
「なんだよ無敵かよ! よーしみんなで
「「「「わーっしょい! わーっしょい! わーっしょい!」」」」
4人のクラスメイトに神輿のように担ぎ上げられ、空中を上下する
(
二学期の中間テストでは、私はどの教科においても、トップテンに入っていなかった。
試験休みが終わり、通常の授業が始まった。
授業後の休み時間。
「な、なんですか?」
私は椅子ごと後ろに倒れそうになった。目の前に迫った
「ご、ごめんなさい。でも、このノート、何も書いてないんですね」
私の顔を覗き込む
「はい……」
「
再び俯き、何も発することができない私。
「
そして放課後、校舎を出た私は、何かに引き寄せられるように足を運んだ。
「来てくれたんですね」
生徒たちは通常、学校正面の正門を利用していた。それは私も例外ではなかった。しかし、その日は違った。東門で待ち受けていた
「あの、えっと」
「焦らなくて大丈夫です。歩きながら話しますか」
私はこくりと頷いて、どこへ行くともわからぬ
「黒板、見えなくて」
「眼、悪いんですか?」
「はい」
「コンタクトは?」
「したことありません」
「じゃあ、一学期は?」
「一番前の席だったので、黒板が見えたんです。でも今の席じゃ」
「一番後ろ……」
「はい、だから黒板を写せなくて。それでも最初は、先生の言葉をノートに書いてたんですが、全然追い付かなくて」
「それで、成績を落としたと」
「はい」
「なぜ視力矯正をしないんですか? メガネとか」
「メガネですか。中学まではメガネかけてたんですけど、小学校に上がる前に作ったものだから、サイズが合わなくて」
「新しいメガネは買ってもらえないんですか?」
「いえ、いつも父が買ってくれるって言ってるんですが」
「なら、買ってもらえばいいじゃないですか」
私は、
「父は、メガネをかけた私が『かわいい』って言うんです。それが恥ずかしくて、買ってくれるメガネも私に似合わない、かわいいものになりそうで」
「
私の語尾に、
「ああ、えっと、コホン! じゃ、じゃあ、メガネはかけたくないんですね?」
「はい」
「うーん、でも、それじゃ困りませんか? 授業とか。ほら、得意な数学も……」
「64点でした」
「そう、それですよ。もったいないですよ」
「いいんですよ。他の教科は元から50点も取れなかったんですから。私の学力レベルはその程度で、数学もそこに収まっただけです」
足音が消えた。私が横を見ると、そこに
「
早足で近付いてきた
「そこに座って下さい」
「は、はい」
当惑して腰を掛ける私。その正面に
「どうか、しましたか?」
「あなたの学力が50点レベルだなんて、誰が決めたんですか?」
「え? だってそうじゃないですか。実際に……」
「そんなに自分を卑下して、何が楽しいんですか?」
「何がって……」
言葉の出ない私に、
「私は、悔しかったんですよ。あなたに数学で負けて。でも、尊敬もした。すごいなーって思ってた。それなのに、今のあなたは何もかも諦めた顔をしています。私にはそれがものすごく不愉快です!」
「勝手にそんなこと言われても」
もじもじと身体を縮こまらせた私の肩に、
「知っていますか? 私、この間のテストでは全教科100点だったんですよ? あなたに勝とうと思って、必死で頑張ったんです。その気持ちを踏みにじられた気分です! あの時の私の気持ち、返してください!」
「返すって、どうすれば……」
「こうすればいいんですよ」
「これ、全部あなたのノートに写してください」
「え?」
「え? じゃありません。私が今まで取ったノートを、あなたのノートに全て書き写すんです。それなら授業で黒板が見えなくても、勉強できるでしょう?」
「いきなり何を?」
「あなたは二学期が始まってからずっと、怠けてたようなものじゃないですか! その代償を今から支払うんです」
「怠けてた……確かに」
「さ、わかったら、これを持って帰ってさっさと写すんです!」
「うう……」
私は怯えていた。そして、目の前にいる少女の美しい顔を歪ませたことに、怒りを買ったことに、深い罪悪感を覚えていた。
「いいですね? これは私からの課題です! 絶対にやってきてください!」
罪の意識に苛まれた私は、自室で
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