第20話 覚悟はあるか?
神主AIの悲観的な遺言に混乱した
「そんなバカな! 私に神主が務まる訳がないだろう! それに皆、今まで神主AIを疑うこともなかったのに、あの発言を受けた途端、勝手に信じることをやめるなんて」
しかし本人の意志とは裏腹に、
「
しまいには、
「お父さま、具合はいかがでしょうか?」
「
うわ言のように自己否定を続ける父を嫌悪しながらも、
「やってみなれけばわかりません。お父さまが神主になったら、皆さん協力してくれますよ」
「権力は私以外の者に任せたかったんだ。公平性を貫けるAIが相応しいと考えたのだ。私についてくるものなどすぐに居なくなるさ」
そう、
「AIが後継ぎになってしまっては、
「はあ、父はまだ頭痛がすると……ええ、下手に刺激すると、また悪化したと言うかもしれませんね」
「皆さま、
「さて、皆さまは現在、私の祖父、
父は神主の死による悪影響を最小限に留めようとした結果、AIを利用するという結論に辿り着いたのです。皆さまを騙したこと、神主の訃報が遅れた事、皆さまに動揺を与えた事、全てお詫び申し上げます。父の計画を知りながら止めなかった私も、父と同じ罪を背負わなければならないと、今回の事態を重く受け止める所存です」
「AIが導き出した思想に、皆さまは絶望を覚えたことでしょう。
ですが、私はあの理論には一理あると考えています。あまりに悲観的な発想ではありますが、配信を止めることができなかったのも、AIを完全に否定することができないからでした。
AIが言ったことも踏まえて、幹部一同、
大変おこがましいこととは存じますが、会員の皆さまにも、今一度この世界のために考えていただきたいと思います。
皆さまが
この時
「
「ああ、あそこまで責任を感じることはないだろう。
「いや、責任は取ってもらうべきだ。だが、
「我々を騙した張本人に、神主を継がせるわけにはいかない。そうだ!
「俺も今それを考えていたんだ。そうするのが一番だと思う」
会員たちの意見は、
そして
「幹部の皆さま、今日集まっていただいたのは他でもありません。この
幹部のひとりが椅子から立ち上がり、口を開いた。
「そうですか。今は
「何が言いたいのですか?」
「いえ、もちろん私も賛成しています。ですが、人心をまとめるために、どういった手段を取るのか、そのことを十分にお考えになられているのでしょうか?」
「わかっています。そのために必要なことはなんでもします」
「なんでもですか。その覚悟、本気と受け取ってよろしいと?」
「はい」
「わかりました。私はこれ以上何も申しません」
幹部は拍手をしながら席についた。他の幹部たちも、暖かい拍手を
「ありがとうございます」
「皆さま、私は決心しました。私が
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