世界の在り方
それは、ラーメンハウス 宗茂の傘下にダグラダマーケットが入ることが決まったきっかけであり、本多 宗茂が、ユグドレアという世界をどう生きていくか、そのことをより明確にした4人の人物との出会い。
4人の内、ドルトルとダグラダの2人との出会いは、彼ら2人が宗茂の元に出向いた時。
ラーメンハウス 宗茂にて十二分に
――商売人たるもの、常に冷静であれ。
ダグラダの信条であり、実質、弟子と呼べるドルトルもまた冷静な商売人である。
そうしてドルトルとダグラダは、その日のうちに宗茂達と対談し、その結果、ラーメンハウス 宗茂に全面協力することを決めたのだ。
残り2人のうちの片割れである1人の少女。
その少女の名は、リィル=
そう、宗茂と拳を交え、意気投合したゲイルの妹であり――
つまり、宗茂達が探し求めていた野良の魔導技術師――先代枢機卿殺害事件の現場にいたと思われる2人組の片割れこそがリィル=ガーベインであり、ゲイル=ガーベインこそが、獣人の男を殺した暗殺者だったのである。
その日、ゲイルが先代枢機卿の暗殺に向かった理由はリィルの病気、その治療の為である。
しかし、依頼者である現枢機卿バルグ=オルクメリアは約束を守らなかったばかりか、ゲイル達に向けて追っ手を差し向けた。
獣人の男との戦いで負傷していたこともあり、枢機卿の配下による数の力に追い込まれたゲイルは、苦悶に満ちた逃亡の末、貧民窟の孤児院にいた
それは、まさに運命だった。
貧民窟の孤児院にて、ゲイルに守られている彼女こそが4人の内、最後の1人にして、本多 宗茂の歩む道を決定付けた者。
その日、出会いは、否――
その少女の背中では、
「
「俺を……知っているのか?」
白い翼と鮮やかな
「もちろんです……憤怒の権能を引き継いだ、ユグドレアにおいて最も信頼できる御方。私は、貴方と出会うのを一日千秋の思いでおりました」
宗茂は彼女のことを知らない。だが、その言い回しに思うことがあった。
(一日千秋……
そもそも宗茂は、ユグドレアという異世界で日本語が当たり前のように使われていることに疑問しかなかった。
使われているのが比較的簡単な日本語で、凝った言い回しなどは見かけないとしても、違和感を拭うことができないでいた。
そんな不可解な違和感という名の疑問に囚われている最中に出会った、四字熟語を使う者。しかも用法を間違えていないことに、もしやという思いが宗茂に去来する。
「日本を……
「はい……よく存じております」
「やはりか……なぜ――」
「私は――」
告げられた彼女の名。
その場に共に来ていたティアナとエリザは、そのあまりに衝撃的な暴露に絶句していた、しない方がおかしいのだ。
彼女の名は、ルフル。
――ルフル=
「
彼女は、ユグドレアの人々からすれば異世界である地球の日本という国を知る者。
「世の人々が、貧民窟の巫女姫と呼ぶ者です」
野望に燃える者達が求めてやまない、
「なるほど……その
「はい、全てが繋がっています」
ルフルから事情を聞く宗茂。
伝え聞かされた情報は、自分を取り巻く流れにソレが関わっていることを、宗茂に理解させた。
ソレは大量の魔素をスキルボードに注ぎ込み、凝縮することで変質した物――
全ての意図が、今、繋がる。
奴隷に反逆させない為に没収しているステータスユニットとスキルボード――奴隷商から
王都外の死体から回収可能なステータスユニットとスキルボードは、冒険者ギルドの常設依頼として、常に高額で買取されている――依頼人はナヴァル王国
「番外区域、奴隷、魔薬。全てが繋がり、その全てにナヴァル王国の権力者が絡んでいる、か……」
「はい……そして私に託されたある物も……奪われてしまいました」
「奪われた?」
「はい……私は永き時の間、世界を巡っていたのですが、7年ほど前にナヴァリルシアを訪れた際、幼な子を人質に取られてしまい、それを奪われてしまったのです。そしてその頃から領土獲得のための戦争に、ナヴァル王国が今まで以上に傾倒していったのです」
ルフルが託された物。
それは世界の
――ラヴィドシュガルム=ラナ。
その名は、かつてユグド
槍の姿を
ユグドレアに16基存在し、そのほとんどが世界各地に封印されている世界の禁忌、その一振り。
――世界内包型特定概念行使術式内蔵魔導器。
それは、幻創器とカテゴライズされし器の
然るべき者の手に在ることで、世界に
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