第1章 授業
第1話
「えーっと、つまりこの公式をだな。こうすると。」
「…つまらねぇ。」
そう頬杖を突きながら、誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟いた。
オレの名前は
部活動無所属の高校2年生だ。
今、数学の授業をしている最中なんだが、先生の説明があまりにもヘタクソすぎて聞く気にならない。
先生の感情が直接黒板に伝わり、不規則に響き渡る。
たまに生徒たちを見渡したかと思うと、また黒板に問題を書いていく。
授業という動作をしているだけで、実際には生徒たちなんて見ていないのだ。
「じゃあ、そろそろ問題でも解いてもらおうか。清川君、わかるかな?」
またオレかよ。
他にも暇そうなヤツなんて、周りにたくさんいるのに。
な?生徒たちなんて全く見ていないだろ?
オレがそんなことを思っているとは知らない先生が、早く答えなさいと促す。
ため息混じりに返事をして立ち、ガラガラというイスを引きずる音が、無駄に静かな教室に響き渡った。
「5x−3yです。」
「よし、よく聞いていたな。偉いぞ。」
そう褒める先生の顔を見ると、少しも表情が動いていない。
だろうな。
解いた後のオレを使い捨ての何かとでも思っているのだろう。
オレも何もなかったかのように座りなおす。
しかもオレ、今月当てられるの何回目だ?
1、2、3……いやそれ以上だな。
なぜかこの先生は決められた生徒にしか問題を解くように言わない。
他の授業の先生は、日付と出席番号をかけて当てたりするのに。
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