さかみちとこたえと
坂の上に莉紗が立っている。
ポニーテールに白いリボンなのは変わらないが、違うのはその格好。
いつもはTシャツにショートパンツという楽な格好ばかりだったのに、
今日は白いワンピースを身に纏っている。
声をかけてみるが声は届いていないのか。
僕が何度名前を読んでも、莉紗はただ、悲しそうに目尻を下げて微笑むだけ。
その大きな目があれほど悲しそうに細められるのを僕は見たことがなかった。
坂の地面を境に、その上は真っ青な空がどこまでも広がっていて、
まるで水彩画の様だった。
莉紗が何かを伝えようと口を動かしているのがわかるが、
日差しが強くなってきて眩しくてよく見えない。
莉紗の方へ行こうと坂を登ろうするが足がうまく動かない。
そうしてる間にいつの間にか莉紗は坂の向こう側へ行ってしまった。
何を伝えたかったのか。
目が覚めた。今のは夢か。
重たい頭を持ち上げて、ベッドに座り、思考を開始する。
散々考えた挙句、あれは莉紗に会いたい気持ちが勝手に作り出した
夢だろうという結論に至った。
僕は頭の中の一つの可能性をかき消す様に勢いよく立ち上がった。
さあ、顔を洗って、歯を磨いて、朝ごはんを食べたら会いにいくよ。
それが僕の日課だから。
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