第6話 眼球が歪んでいる

 網膜が足りない私ですが、もうひとつ、左眼球が歪んでいる、という事実。

 五年前、眼科受診の決め手になったのは、左の視界が、右上方向、歪んでいる、ということでした。

 もともと、右より左の視力が、ひどい。つい、右に頼って見ているようで、映画やバレエも、右寄りの席で見るのが楽でした。


 検査では、網膜の薄さだけが指摘され、眼球のゆがみについて知ったのは、少し後です。

 洋ナシに近い形のようです。原因は不明ですが、道理で、と腑に落ちました。

 舞台用に、オペラグラスを持参していたのが、ある時から、見たい箇所に焦点を合わすことができなくて。もたもたしているうちに、場面はどんどん移り変わります、もういいや、と、オペラグラスは使わなくなりました。


 つまり、左目のせいで、ピントが合わなっていたのですね。

 以来、どうしてもアップで見たいときは、右目だけオペラグラスを当て、短時間、アップを楽しむようにしました。


 手術した今も、左の見え方は、歪んだ世界です。

 左だけで、左手を見ると、親指から中指までの先端が歪んでいます。

 でも、これが自分の目。

 こうして書けている現実を大切にしていきます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る