第5話 メガネは限界
鍵穴が見えない。
まぶしい外から暗い廊下に来て、見えにくくなっているのでしょう、白内障は、まぶしく感じるというけど、これも症状のひとつか。
どうにか室内に入り、カーテンに目をやって、ぎょっとしました。真っ白なカーテンに、赤紫の大きな丸が見えます、残像みたいな。特に日差しの強い日に、こんな風になるのか。曇りの日は、そういうことはなかったです。
パソコン用の眼鏡も、どんどん見え方が悪くなり、本も読めません。どうしても読みたいときは、裸眼で、本に顔をくっつけるようにして。当然、長くは無理で、どうしても読みたい箇所だけ、です。さすがに、眼鏡の限界を感じるようになりました。
当時の眼鏡は、左が十ミリ、右が八ミリ。これでも、薄型の高いレズです。それが一年弱で、このありさま。
やはり手術かなあ、と、考え始めました。
そんな強いメガネをかけずに済むようになります、と、先生からも言われていました。
視界もかすまない、とも聞きました。
メガネなしでは、世界はぼやけて、何もできないのに、そんなことになるんだろうか、本当に。
その頃、さだまさしさんの言葉を聞きました。彼も白内障手術を受けていたのです。
こんなに良く見えるなら、もっと早く、手術すればよかった。
そっか、そんなに良く見えるのか。
やっぱり、来年、受けようか。
九月の定期検査では、まだ決意ができず、来年だ。
来年の一月の検査で、手術したいと言ってみよう。
そう、心に決めました。
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