第4話 手術は怖い
白内障、を指摘されたのは、三年ほど前。
まだ深刻ではないが、手術すればよく見えるようになる、とのことでした。
でも、目にメスを入れるなんて怖くて。どうにか、しないで済まそうと強く思いました。
眼鏡をはずすと世界はぼやけて、朝、起きたときに枕もとの眼鏡ケースを手で探して、かけてからでないと、何もできない。それでも、眼鏡をかければいいのだから、と。
しかし、左目は、色が抜けて見えるようになっていました。天井の蛍光灯は、電灯色、オレンジぽいはずなのに、白っぽく見える。今は、右もそうなっています。
映画を見に行っても、字幕を読むのが次第に苦痛になり、この眼鏡じゃだめだ、と、二年前の夏。レンズだけで八万もかけて、新しいのを作りました。一本では遠近両方はカバーできす、パソコン用も、別に。大変な出費です。
出来てきたメガネは、まあまあ、見えました。秋から冬へのバレエ舞台は、前のに比べて良く見え、字幕も見やすくなり、満足。
が、七月になり、異変が。
「一度も撃ってません」という映画を見たとき。
夜のバーの場面など、暗くて、まるで見えないのです。昼のシーンが多い映画では、そうでもないので、画面が暗い映画なのだろう、と思うことにしました。
去年の夏は、酷暑で、日差しも強かったですよね。
真夏、シネコンから戻るとき、まぶしいなあ、と気になり、なんとか自宅マンションの内廊下にたどりついた時。暗くて、鍵穴が分からないのです。もちろん、廊下の蛍光灯は、ちゃんとついています。
新調してから一年もたってないのに、どういうこと?
不安が胸に広がっていきました。
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