第3話 目に爆弾を抱えていた

 小さい頃から、目がコンプレックスでした。

 夜空の、あれがナントカ座と言われても、見えない。

 あそこに猫がいるね、と指さされても、わからない。

 眼鏡をかけ始めたのは十歳、今の基準ならさほど早くないでしょうが、ド田舎で、かけたのは私が初。周囲の大人も、ほとんどかけてる人はいませんでした。


 網膜が足りない、五百円玉サイズが必要なのに、百円玉の網膜しかない。それは、生まれつきのことなのでしょうね。顎のわりに歯が大きい、と歯科で指摘されたこともあります、これも個性なのでしょうか。生まれつき、足りない網膜だった。生まれつき、時限爆弾を抱えていたようです。


 目にトラブルを感じだしたのは五十台になってからです。それまでは近視、乱視がひどいなりに見えていました。

右目がじきに、見えなくなると宣告された知人。右目、失明の恐れありと言われた知人、事故で片眼を失った知人。などがいましたが、他人事だと思っていました。

 それが、目が痛くてたまらなくなり、サプリに頼り、視野が欠けている気がして、やっと眼科に駆けこんだのが五年前です。


 体は、五十五歳までは、自分を守る、と聞きました。その年までなら、生殖の可能性があるから、らしいのです。

 人生五十年と言われたころ。女性は、末子を出産し、その年齢で世を去った。信長も、天寿ではなかったけど、半世紀で、人生を終えていますね。


 五十代の方、不調を感じませんか。

 突然死や、孤立死。五十台が多い気がするのですけど。

 三年前に、昔、職場でお世話になった年下の上司が逝去。五十八歳でした。原因は、結局、不明。ただ、一人っ子で、お母様は私の在職中に亡くなり、お父様も、おそらく。一人暮らしで、健康面に問題を抱えていたかと推察します。

 還暦前の高校の同窓会でも、うちのクラスの男子、二割に当たる七人が既に帰天。多すぎませんか。


 話が逸れましたが、私の目の時限爆弾。五十五歳まで守ってくれた体が、ハイ、時間切れ、と、見放し、一気に悪化(爆発)したのかな、と勝手に思っております。

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