第7話 Little Romance(7)

ななみは1日だけ入院しただけで、元気に帰ってきた。


しばらく学校を休むことになったが、家の中では元気にしていた。




「わ、いい匂い~。」


学校から帰ってきたひなたはキッチンからいい匂いがしてきたので思わず鞄を放り投げた。



「ほら、また鞄を!」


ゆうこは怒ったが、



「ね、なに作ってるの~?」


そんなことは気にせず、やってくると



「カップケーキ作ってるの、」


ななみが嬉しそうに言った。



「カップケーキ? わ、おいしそ。 ななみが作ったの?」



「・・うん、」


嬉しそうに頷いた。




「浩斗くんにあげるんですって、」


ゆうこはニッコリ笑った。



「え、浩斗に?」


ひなたは少し驚いた。



「このまえ、助けてもらったし、」


ななみはちょっと顔を赤らめてそう言った。



「ふうん・・」



「できたらひなた一緒に行ってあげてくれる? 浩斗くんのところ。 今日も部活ないんでしょ?」



「うん、たぶん・・」





キレイにできあがったケーキを持って、ななみはひなたと一緒に浩斗の家に行く。



「え、ケーキ?」


浩斗は驚いた。



「助けてもらったからって。 ななみが自分で作ったんだよ。 あたしも食べたけど、すっごく美味しかった。」


ひなたの後ろでまだななみはもじもじしていた。



「へーっ。 すげーな。 ななみはお菓子作りもできるんだあ。 おまえとぜんっぜん違うな、」


浩斗は笑った。



「悪かったねっ!」



「ありがと。 あとで食う。」


ななみに笑いかけると、



「・・うん、」


もうななみは真っ赤になっていた。




帰り道、ひなたはななみに


「ななみさあ・・浩斗のことすきなの?」



思わず聞いてしまった。



「えっ・・」


ななみは驚いたようにひなたを見た。



「すきって・・」


またも彼女は真っ赤になってしまった。



「ずうっと顔、真っ赤だったし~、」


ちょっと意地悪く言うと、



「ひ、浩斗くん・・すっごいやさしいし。 ああやって・・たすけてもらったりして・・」


ななみはもう泣きそうな感じでまたももじもじしはじめた。



「そっか・・」



確かに


あの時のヒロトはちょっとカッコよかったかな・・



ひなたも少し思ってしまった。





まだ5年生なのに、ななみは


男の子のこと好きだって気持ちが


わかるんだなあ・・



そして


ちょっとしたショーゲキでもあった。



あたしは


どーなんだろ・・



浩斗とはずっと仲良しで


すんごいケンカとかもしたけど


やっぱり、いつの間にか仲直りして。


男の子とか意識しないで、女の子の友達とおんなじようにつきあってきた。




ななみが恋をしちゃっていることを知ったひなたは


何だかその日からいろいろ考え込むようになった。




「な、できた??」


なんとか中間テストが終わって、浩斗は隣の席のひなたにいきなりそう言った。



「よくわっかんない。 数学はヤバいかも、」



いちおう勉強をしたつもりだったが、したつもりだったので


いかんともしがたく。



「でも! 今日から部活できる~!」


浩斗はいきなり元気になった。



「あたしも今日はダンスのレッスンの日だ。  先週、ママに無理やり休まされたから!」


ひなたも元気になった。


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