第3話 Little Romance(3)

「はあ? ひなたがァ??」



こんなことを話すと


非常にうるさそうだが。



いちおう


ゆうこは志藤が帰宅して晩酌をしている時に、その話をした。



「なんじゃその高野ってオトコはっ!」



やはり、いきなり怒り出した。




「オトコって。 まだ中学3年生の子なのに、」


ゆうこは呆れた。



「もう何年も区議を務めている人の息子さんで。 近所でも有名ないいお子さんだってことは聞いてる。 スポーツ万能で、頭もいいし。 今、学校の生徒会長を務めてるらしいわ。 」



「そんなのは関係ないっての。 んで断ったんやろなあ・・」



「断ったってば。 ひなたは、ほんっと全然そういうこと興味ないもん・・」



「ったく! 近頃のガキは生意気な・・」


と言いながら焼酎を呑んだ。



「でも。 もう中学生ですもん。 つきあったりとか、そういうことはありえるし。」



「そんなの早いって!」


ムキになる志藤に



「んじゃあ、自分はどーなんですかあ?」


ゆうこはジロっと彼を睨んだ。



「は・・」



「前に。 京都のお母さんに聞いたんですけど。 もうあなたが中学生になった頃から、近所でも毎回違う女の子連れてるって評判だったって。」



ドキっ。



志藤は思わず胸を押さえた。



「・・ひ、ひなたは女の子やし、そんななったら困るやん。」


「あなたの血を引いてると思うと。 ほんっとすんごい心配!」



「なんやも~。 いきなり。 ・・ま、それにしても。 ひなたはめっちゃかわいいし。 ほんま気をつけなアカンて。 も、へんなオトコ多いし!」



「ひなたは大丈夫ですって。 親からみてもなんでこんなにドライなんだろって思うし。 あの子はどこでも生きていけるわ、」


ゆうこはため息をついた。





「へーっ、ひなたがね~~。」


志藤は南とランチをしていた。



「なんっかもう。 いきなり心配になってきたし、」


タバコをくわえながら宙を仰いだ。



「だってひなた、めっちゃかわいいもん。 これからそんなのいっくらでもあるって!」


「いくらでもって。」



「年頃になってさあ、『パパ~。 子供できちゃったから結婚するね~。』って言われちゃったりして!」


南はおかしそうにムフフと笑った。



すると、志藤はぎょっとして


「アホっ!! そんなこと! そんなことなってたまるかい!!」


テーブルを叩いて反論した。



「自分がしたことがな。 巡り巡って回ってくるねん。 因果応報??」



「そんなんなったら、相手の男を刺して、おれも死ぬ~~!!」


志藤は絶叫した。



「アホか・・」


南は呆れた。






そして日曜日。


志藤は昨日も遅かったので11時近くまで眠ってしまった。


リビングに降りていくと、




「だからっ! そーじゃないってゆってるじゃん。 ちゃんと単語練習したの?」



「したよ! ちょっと間違えただけなのにいちいちつっこむな!」



ひなたが浩斗と教科書とノートを広げてなにやら言い争っていた。



「なにしてんねん・・朝っぱらから・・」



志藤が言うと、



「あ、パパ。 おはよ。」



ひなたは笑顔で言った。


浩斗は気まずそうに会釈をした。



「水曜日からさあ、中間テストだから。 浩斗が勉強しよってゆーから。」



「勉強? おまえが~?」



「いちおう中学生だしさあ。 もーめんどくさい! テストなん・。 ほら、浩斗、あたしよりアホだから!」



「おまえよりは上じゃっ!」


浩斗はムッとして言い返した。



「この前の漢字テストは2点だけあたしのが高かった!」



「2点ったって、おまえは6点だろっ!」


目クソ鼻クソ・・


志藤は呆れて、洗面所に歩いて行った。


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