第17話 夢か現か④(16話は、今のところ欠番、怖いので)

 真夜中の2時。


 お盆を過ぎても、夏の夜は、まだ暑かった。


 それでも、ピーク時に比べると、まだマシ。


 私は、フローリングの床に寝そべりながら、本を読んでいた。


 何の本かって?


 多分、ラノベの転生したら〇〇だったとかいうヤツ?

 あるいは、地下大墳墓の覇者とかいうヤツだったか?

 あるいは、本好きの成り上がりだったか?


 とにかく、そういう本だった。


 床が冷んやりして、冷房要らずで、本の世界に没入していた。


 だから、2時という時間を忘れていた!


 お盆からの1週間のこの時間は、私の家では、起きていてはいけない、禁忌の時間なのだ!


 深夜2時、それは丑三つ刻。

 ちょうど、鬼門が開くとき。


 魔物や死者が跋扈出来る時。


 わたしは、しまったと思った!


「チリーン!チリーン!」


 その時、となりの部屋で、風鈴が鳴った。


 風などあるはずのない部屋で、風鈴が鳴った。


 お仏壇のある部屋で風鈴が鳴った。


 ああ、今年もやって来たんだ。


「タタタタタ!」


「トトトトト!」


 私は、目を瞑り、耳を塞ぎ、押し黙った。


 私は、見ない、聞かない、声出さない。


 この3無いを守った。


 やがて気配はなくなった。


「チリーン!チリーン!」


 ああ、お帰りになるのか?


 何も無かった事に、安堵した。


 さて寝るかと、立ち上がろうとした時、金縛りにあった!


 えっ?


 動けない!


 どうしよう?



 なーんて、ウソ!


 足が攣っただけだった。


 イタタタタ!


 そして、廊下に出て、隣りの部屋を覗く。


 居た!!居た!!


 子供が居た!


 正確には、子供くらいの黒い何かが居た。


 一瞬目を瞑った。


 そして、目を開くと何も居なかった。



「チリーン!」


 その時、風鈴が一回鳴った。





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