第14話 夢か現か②

 私は、小さい頃、タッちゃんと遊んでいた。


 タッちゃんは、いつも短パンと半袖だった。


「いいかい?僕が面白い事を教えてあげるよ」


 そうして、私は、彼について行った。


 彼は、あるお店の裏口へと入って行く。

 私は躊躇したが、彼が早くしてと言うので、彼の後について入った。


 そこには、棚にいっぱいのおもちゃが並んでいた。


 今から思えば、そこはおもちゃ屋さんの倉庫か、おもちゃの卸しをしているお店だったと思う。


 彼は、何でもいいから好きなものを取れと言う。


 私は、かわいいキューピーのお人形を手に取った。

 彼は、おもちゃの拳銃を手に取っていた。


 そしてそのお店を出てから、私は彼に、お金を払わなくていいの?って言った。


 彼は、大丈夫だよと言って、拳銃を私のほうに向けた。


 やめてよ!と、わたしは言って、そこから追いかけっこが始まった。


 明くる日も、私たちはそのおもちゃの棚の所へ出かけて行き、何か適当なものを取った。


 私は、なんとなく悪いことをしているのではないかと思い、もうやめようよと言った。


 彼は、「ちぇっ、つまんねー奴!」って言うと、何処かへ行ってしまった。


 翌る日、私は親に、こんなものを取ってきたけど良かったの?と聞いたら、とても怒られて一緒におもちゃを返しに行った。


 彼は、いいの?って訊いたら、そんな子は、この近所には居ないって言われた。

 そして、彼の家だったところは、空き地になっていた。


 それからは、一度もタッちゃんには会っていない。


 でも、私は時々思い出す。

 キューピーマヨネーズを見ると。

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