第13話 夢か現か

 幼少期


 それは、まだ、夢とうつつが混じり合う時


「どうしたの?」

 髪の長い、赤い服の、綺麗なお姉さんだった。


「そう、遊んでるの?でもね、そんなにアリさんを殺しちゃ、ダメよ」



 翌る日。


「どうしたの?」

 やはり、髪の長い、赤い服の、綺麗なお姉さんだった。


「そう、遊んでるの?でも、子猫を川の中に投げたら可愛そうだよ」



 また、翌る日。


「どうしたの?」

 髪の長い、赤い服の、綺麗なお姉さんだった。


「そう、でも、わたしはイヤだな。セミを食べるのは」



 また、翌る日。


「どうしたの?」

 あの、髪の長い、綺麗なお姉さんだった。


「どうして、今日は白い服なの?」


「いつも、白い服よ」


「えっ、いつもは赤だったよ」


「まだ、ヒトを殺してないから」


 そう言って、お姉さんは笑った。

 口の中には、ギザギザの牙がたくさんあった。


 わたしは、そのお姉さんが怖くなり、走って走って走った。


 そして、家の中に入り、一息ついだ。


「どうしたの?」


 今度は、あの、長い髪の、真っ赤な服を着たお姉さんが、私に尋ねてきた。




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