第13話 とっておきの策
踏ん張りと苦労を重ね、アタシ達は塔の最上階へとたどり着いた。何から何まで初めて続きの終着点だ。だだっ広い空間に、品の良さそうなローブに身を包んだ老人がいる。
「むっ? なんじゃ、お前たちは?」
「おじいさん聞いてください! 私達のパーティに勇者は居ないけど、魔王の脅威から世界を救いたいんです! だから…お願いします! 鍵を下さい!」
「ならんっ! この鍵は代々勇者に渡す決まりとなっておる」
「ね、おじいちゃん~ 固い事言わないで、お・ね・が・い」
「ならんと言ったらならん! 勇者がおらんお前達が、この塔に立ち入る事すら許さた事ではないっ、さっさと立ち去れぃ!」
「ケチー!」
失意のとんぼ返りを余儀なくされたアタシ達は、力無く階段に腰をかけた。
「はぁ~ 頑固な爺さんだね。魔王を倒すって志を持ってる事に変わりはないんだから、ケチケチしないでくれてもいいのにね? 後ろの宝箱の中、鍵いっぱい入ってたよ」
「無理やり奪うわけにもいかねぇしな… まぁ、仕方ないな。じゃ、ここまでか・・・ そこそこ楽しめたよ」
「そうだね、私このパーティ好きだよ~」
「また縁があれば、一緒に旅をしたいもんでござる」
短いながらも、武道家、戦士、遊び人それぞれが、旅を共にして感じた素直な想いだった。
「ちょっとちょっと! 諦めるにはまだ早いって!」
「おいおい何言ってんだよ、鍵がなきゃ、この大陸から出る事すらできねぇよ」
「勿論それは知ってるよ。で、一度開けた鍵はある程度の時間、開いたままになるのって知ってる?」
「ん?」
アタシ達は来た道を戻りながら、秘策を打ち明けた。
「…でね、勇者達の後をつけていって、鍵を開けたら、再び鍵が閉まる寸でのところで踊り込むのよ。勇者に見つかると、色々面倒だから、少し進んで行くのを見計らってからの方がいいと思うの」
「ま… まぁ、理屈はそうかもしれんが、そうも上手くいくか?」
「やってみようよ、アタシやる前から諦めたくないの。何事も当たって砕けろの精神だよ」
「拙者も大賛成でござる。メガンテの如く砕けろでござる」
「武道家・・・ 例えがこえーよ」
「メガンテってなぁに?」
曲がり角で、4人に奇襲をかけるつもりでいたフロッガーだが、メガンテの言葉に驚き一目散に逃げ出した。
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