第11話 アタシの特技って…

「ほら、モンスターを倒した瞬間Gを落とすけど、その際、飛び散るケースがあるの。アタシはそれを見逃さないだけ」


「なるほどな… しかし、目ざといというかあざといというか…」


「拙者には、まったく見えんでござるが」


「武道家の動体視力ですら捉えられないのにな…」


「仕方ないじゃない、無意識の内に目がいくって言うか、耳が通るって言うか…」


「あ、一角ウサギだよ~ もふもふしてかわいいねー」


「よーし、見ててよー! せーのぉ、あぁ…どっこいしょっ!」


アタシの一撃で一角ウサギをやっつけた。


「あぁっ! ウサちゃんっ!」


「ほらっ! 今、木の根っこの方にGが飛んでいったの見えたでしょ? 多分2Gだよ、重なる音がしたし」


「いや 見えねぇ、聞こえねぇ…」


「まったくでござる…」


「ウサちゃん…」


「ほらー やっぱり2G!」


Gを高らかに掲げ、草陰から満面の笑顔で顔を出すアタシを見て、周りは少し引きつった顔をしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る