第37話
*
フランは深淵を彷徨っているうちに目を覚ました。
頭がずきずき痛む。
「くっっ……っ」
彼を救った家臣が跪いた。
「殿下!」
「メルト……?」
補佐で家臣のメルトを見た瞬間、自分がこの場所で目を覚ました理由がわかった気がした。
「フラン家の宝具を使ったのですか?」
「殿下を救うためには仕方ありませんでした。どんな罰でもお受けします!」
古代の宝具。
それはフラン家が1000年かけて生み出してきたマナの陣が宿るアイテムだった。
強力なマナが宿っているもので、宝具によって違う特性を持っていた。
「では……。その宝具は破壊されてしまいましたね」
「はい……。申し訳ございません!」
「まあいいです。あなたに罪はありません。相手のことをきちんと把握できていなかった自分のせい……。それより、我が軍は!」
「申し訳ありません……。いつお目覚めになられるかわからなかったので、戦場にいるわけにはいきませんでした。今ここは、ナルヤの国境沿いにあるロエン領地です」
ロエン。
侵略のために今回初めて駐屯した領地。
そこからルナン王国北部の領地を順番に占領していった。
「……」
フランは歯を食いしばった。
自分もやられた。
そんな人物に総大将のいない兵力が持ちこたえるのは無理だ。
「全軍に退却を命じます! 一目散に退却すべきです。すぐにでも兵士を送ってください。 ひとりでも兵士を救わなければ……」
「かしこまりました、殿下!」
完全なる敗北だった。
すべてにおいて負けてしまった。
フランはぶるぶる体を震わせた。
エイントリアン・エルヒン。
あんな存在がルナン王国にいたなんて。
私の戦略だけでなく、マナの陣まで撃破する人物が!
「今度は……。次があるなら必ず……」
ガンッ !
そのように言いながらフランは壁に頭を打ちつけた。
*
2章終了時点の主要人物一覧
(エイントリアン領地)
主人公
エイントリアン・エルヒン
メルヤ・ハディン[男爵]
[年齢:45歳]
[武力:60]
[知力:57]
[指揮:70]
指揮官。
ベンテ
[年齢:25歳]
[武力:49]
[知力:38]
[指揮:82]
百人隊長。
ジント
[年齢:21歳]
[武力:93]
[知力:41]
[指揮:52]
臨時家臣。
(ルナン王国)
ローネン・バルタク[公爵]
[年齢:57歳]
[武力:46]
[知力:69]
[指揮:75]
総大将。
ベルヒン・ヘイナ[伯爵]
[年齢:27歳]
[武力:60]
[知力:81]
[指揮:55]
前参謀。現在無職。
ユセン
[年齢:39歳]
[武力:82]
[知力:69]
[指揮:90]
百人隊長。
ギブン
[年齢:31歳]
[武力:70]
[知力:34]
[指揮:76]
ユセンの部下であり百人隊長。
デマシン・エルヒート[伯爵]
[年齢:42歳]
[武力:96]
[知力:70]
[指揮:92]
副大将であり第一武将。
(ナルヤ王国)
フラン・バルデスカ[公爵]
[年齢:28歳]
[武力:90]
[知力:96]
[指揮:90]
フラン公爵家当主。
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