第16話 刀狩り

犬坂「今後はあの甲冑を使いましょう」

犬神「日本人とバレるんじゃ?」

犬坂「ムックの中に甲冑を着込めるようにあつらえ直します、完成まで里見ちゃんと休暇を取って下さい」

犬神「その前に里見の義足を」

犬坂「わかってます」

里見は今、取り敢えず市販の義足で過ごしている。

当面の優先事項は彼女の怪力に耐えられる義足をオーダーメイドする事、その後リハビリをする事だ。

◼️

犬神は里見のリハビリに付き合いつつ、ヤクザや元テロリストからのリクエストに答えて悪人を斬り続けている。

特に中東では徹底的に武器破壊をするようになった。銃声が止むまで銃を破壊し、爆弾は爆破処理する。

今の甲冑ムック装備だから出来る事だ。

更に人道支援団体や治安も意識して元テロリストを働かせる事を始めた。

兵士には破壊した武器の代わりに金塊を渡す。

さらに金塊は元テロリスト達を使って換金させ回収した。回収した金塊はまた別の兵士に渡す。

人道支援の警備なども現地人を雇って行わせた。

ゆくゆくは里見に復興を指揮させるため。

◼️

犬神の進攻により、ついにテロの犯行声明を出した事がある大組織幹部数人の居場所が特定された。

民間人が多く居る民家街である。

幹部の顔もわかっているので、珠転送して斬るだけ。

今夜はUFOの操縦者として里見を連れて夜襲する。

里見は非戦闘員だが一応ムック装備。

◼️

一人目の幹部は容易に斬れた。

しかし、二人目の家で乙姫は女子供の人質に囲まれた幹部を発見する。

見張りの男が三人寝ずの番もしている。

一人目を襲撃した以上今夜諦めて帰る事は出来ない。

昼はもっと警戒されていて即自爆される。

幹部と見張り三人の状態が一番手薄なのだ。

そして見張り役をあらかじめ斬っておく事も出来なかった。

悪人でもない人質の家族が混じっているから。

乙姫が一旦UFOに戻って状況を説明する。

衛星通信で犬坂も聞いていた。

犬坂『トイレ等で幹部が一人になるのを待った方が良い』

◼️

乙姫が監視に戻ると幹部の男は人質の女を襲い始めた。

UFOに待機している犬神、里見にもUFOモニターでその様子がみて取れる。

犬坂『まずい』

里見が怒りで動き出す前に、

犬神は珠転送で乙姫の元に転送した。

女を押し倒している幹部の背中の上に現れ、

落下しながら令和の剣で斬った。

見張りの三人の目がムックに釘付けになった。

いつ自爆されてもおかしくない。

が、犬神は着地と同時に珠転送でUFOに戻った。

自爆攻撃の対象が居なければ無駄死にになるだけだ。

ほんの二秒程度の出来事。

すると見張りの内一人が天井に発砲し始めた。

◼️

銃声で三人目の幹部が夜襲に気付く。

三人目の幹部も人質と見張りをはべらせている。

しかしやはり犬神は撤退出来ない。

幹部がムックに襲われた所を衆目にさらしたから。

このまま帰れば折角斬って改心させた幹部が尋問拷問で殺されかねない。

夜明けギリギリまで待って、帰ったと思わせる位しかない。

今夜のターゲットはあと一人。

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