第14話 異教徒でも神でもないムック

犬坂「これが宇宙人スーツです」

茶色の羽毛、でっかい雀のよう。

ネーバ星人の翼で作ったものだろう。

着てみると、なるほど人間ではないモコモコ具合。

下半身はスカート型になっていてフェイクの尻尾付き。

しかし急所は硬い金属プレートで守られているのがわかる。モコモコの中にワイヤーと確固たる骨格があるのだ。

犬坂「対爆発、防弾性能は一応有ります、が絶対ではありません」

マスクも同じ羽毛で覆われていて上半身はムックのようなシルエットになった。


スカートを履いた茶色いムックは宇宙人である。

だから異教徒ではないし神でもない。

宗教の外に居る、宗教に縛られない存在。

『宇宙人がただテロリストを改心させるだけ』

◼️

中東に大金を積んで雇った通訳を潜入させ、一ヶ月待った。

始めの内は徹底して金の力だけで情報を集めさせる。

通訳とて信用出来るかわからないから。

ようやく信用出来るとわかったら今度は刑務所に賄賂を渡し、テロリストだった事が疑われる囚人に令和の剣を使った。そこから繋がるテロ組織の構成員を割り出す。

末端の構成員から始まり国際手配のテロリストリーダーに繋がるまでテロリスト狩りは続く。

◼️

末端テロリストは襲撃しやすかった。

民家に一人か二人で潜伏していることが多い。

そして令和の剣で斬れば嘘はつけない、確実に次のテロリストに繋がっていく。

斬るほどに過激派の地域へ深く潜入する事になるが、ネーバ星人のUFOは完全ステルスで見つかる心配は無い。

ただ斬るべき人物が武装拠点に居る場合もある。

いくら改心済テロリストで誘きだしても邪悪な者ほど直接会おうとはしない。

しかし時間を掛ければ改心した事がバレてしまう。

結局、改心済テロリストをムックにして同行させ、突入するしかなかった。

おまけに名前と連絡先しか知らないなんて時は最悪だ。

そうなるとただの宇宙戦争だ。

ただの過激派なら令和の剣のターゲットではないから、無闇に攻撃出来ない。こちらはごりごりに攻撃を受けながらターゲットのテロリストを探す。一人一人武器破壊しつつ戦闘不能にする。

犬神は乙姫の言った死の予感を感じ始めていた。

戦闘になった場合、兵士は立ち向かって来るが、テロリストは一目散に逃げる可能性が高い。テロリストは脳筋兵士的思考で行動しない、始めから通常戦闘に参加する気は無いのだ。

だから過激派兵の中にも卑怯なテロリストを嫌っている連中がいる。

犬神『もう、逃げたのかも知れない』

犬神「里見ちゃんは逃げた連中をUFOで追って、そっちの方が当たりかもしれない」

里見「り」

◼️

ただテロリストを探しているだけの宇宙人。

銃撃は効かず、誰も殺さない。只テロリストを探し、見つけても殺しもしない。

突然空からUFOでやってきて瞬間移動をやりまくる。

そんな噂を流すと過激派と言えど抵抗を諦める者もいる。テロリストを知らないと言えば帰るのだから。

ただテロリストだけは恐怖だろう。

テロリストに味方する者など元々少ない。

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