第7話 良心的ベーシックインカム
良い子ちゃん化して欲しい人物名簿がモニタに表示される。
暴力団、半グレ組織の幹部疑いの者、前科再犯者、薬物中毒者との記載がある。
犬坂「彼らを斬って、組織に勧誘して下さい」
里見「組織、?」
犬坂「良心会、これがメンバーカードです」
カードには個人名とICチップが埋め込まれている。
犬坂「斬られた者はバカ正直になります、助け合わないと今の世の中、生きていけないはずです、良心会会員には私の豊富な資金を自由に使わせます」
里見「良い子ちゃんだから悪用の心配は無い、と」
犬坂「そうです、強制的に良い子ちゃんにすると言う深刻な人権侵害の代償として一生面倒を見ます」
里見「資金が尽きたりしない?」
犬坂「地下大阪城に座敷わらしが居る限り資金が尽きることは無いでしょう」
里見「名簿の人以外斬ってはいけない?」
犬坂「いいえ、名前無しのカードも有ります、やむを得ず斬ったら渡してください」
里見「了解」
犬坂「ヤクザAこと山田A太郎と警察がそろそろ動き出すはずです、速やかに先ずは暴力団関係から斬って来てください」
里見「あいつも会員?」
犬坂「ヤクザの内情に詳しそうな男ですから、警察と連携して一気に所属していた暴力団を壊滅しようとするでしょう、そうなると他の暴力団がどう出るかわかりません、我々の介入が発端で抗争されても困るので、先に手を打つのです」
里見「思ったより大掛かりね」
犬坂「関西圏の暴力団、半グレを壊滅させるつもりでやって下さい、うまく行けば次は対テロリストです」
里見と犬神は出発した。
◼️
狛ちゃん『政治家とか独裁者は斬らないの?』
犬坂「先ほどテロリストを斬る候補にあげましたが、政治家や独裁者を斬ったら我々がテロリストと言う事になってしまいますよ?」
狛ちゃん『悪人なら斬っていいんだよね?』
犬坂「確かに悪人の政治家独裁者なら斬りたくなりますが、本来悪人を裁くのは法や有権者です、例えば国民が悪人とわかっていて選んだ政治家が居たとします、その政治家を斬って善人にしては民主主義に意味が無くなる、我々の独裁のような状態になる」
狛ちゃん『じゃあ選任された政治家じゃなくその側近を斬れば?』
犬坂「良い質問です、しかしそうすると側近という善人とか悪人とか分からない人を無闇に斬る事になる、狛ちゃん、私が令和の剣を里見ちゃんに渡したのも意味があります、犬神さんでは有名過ぎて令和の剣の効果、良い子ちゃん効果が世間に知れてしまう」
狛ちゃん『反発される?争奪戦になる?』
犬坂「そうです、令和の剣は魔剣なのです、法律も良い子ちゃん効果有りきで作られてはいない、だから罪や責任を負うのは里見ちゃんではない、指示を出している私です」
■
先ずは暴力団組事務所へ向かう。
里見はバイク、犬神は車。
ピンポーン
組事務所のインターホンをライダースーツの里見が押した。ヘルメットは脱いでいる。
若いチンピラが扉を開けた。インターホン越しのやり取りは無かった。女性だったからだろう。後ろにも一人控えては居る。いかつい。
「だれだ?」
もういかついので里見は答えずに令和の剣で刺した。
痛みで膝を付く男。
里見はフルフェイスヘルメットをかぶり組事務所に殴り込んだ。
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