第6話 命の重さ

狛ちゃん「メール来たよ」

題名:2正義とは何か考えて下さい

差出人:犬坂毛野 宛先:浜路里見 CC:犬神真人

トロッコ問題を踏まえ、命の重さの判断基準が纏まったら会いに来てください。

ex.子供と老人の命の重さ、

罪、悪事による命の重さ


里見「犬神さんはどう思う?」

地下大阪城の道場を歩き回りながら訊いた。

犬神「トロッコ問題なら俺は里見ちゃんと同意見、

犬坂先生みたいには割り切れない、私情が絡んでしまう」

しかしそうなると命の重さを、神の如く量らねばならない。

それが今回の課題である。

犬神「俺は40歳越えてるから経験があるんだけど、死ぬのは仕方ない、もう十分生きたのかも知れない、と思った事が何度か有る、つまり死ぬ覚悟ってのを真剣に考えた事が有る、なら俺より年配の方も覚悟が出来てるのかも知れない、少なくとも健康な若者よりは覚悟が出来ている可能性が高い」

死ぬ覚悟はある、それは里見が迷った時のヒントのつもりか。

里見「他人の生きたい思いの強さが分かればいいんだけど、、、無理よね」

犬神「そうだねぇ、、だからこそ、分かりようが無いから年齢で判断させてもらうしかない、で良いんじゃない?」

里見「じゃあ罪の重さの方は?」

犬神「そこも死ぬ覚悟の話と同様、他人の犯した罪なんて俺らに把握出来っこ無いよね?」

里見「そうよ」

犬神「令和の剣で斬れば嘘偽り無く白状してもらえる、けど全人類斬る訳で無し、結局その都度把握出来てる範囲で判断するしかない」

里見「なんだか自信が無くなってきた、私如き若造じゃ、もうついて行けないわ、さすが年季が違うわね」

犬坂はまず覚悟があるか確かめた。

そして若造であることを自覚させたかったのかも知れない。

里見「ネットで調べて、一晩寝て、何も思い付かなかったら会いに行くわ」

犬神「り」

里見は課題で頭が一杯だが、犬神は犬坂の意図を計りかねていた。

犬神『そもそも令和の剣を積極的に使って良いのか?なぜそこを問わない?』

犬神はそこを問うつもりでいた。

◼️

翌日、犬坂と面会する。

里見「命の重さの判断基準は、生きたい思いの強さよ」

年齢、長さではない。

若くても死にたいなら命は軽く、高齢でも死にたくないなら重い。

里見「でも他人の思いとか罪の重さは把握しきれない」

だがトロッコは止まらない、だからせめて覚悟をもって裁くのだ。

犬坂「まあよいでしょう」

里見「次の課題は?」

犬坂「次は実践です、前に斬ってほしいと候補に挙げた犯罪者を斬り、その行動を確認するのです」

犬神『なるほど、性能もわからないのに使っていいか悪いか判断しようがない、だから実験すると言う事か』

それに里見の成人を待っていた、とも思った。

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