哲学教室
第4話 令和の剣
夜勤から帰った里見はいつも通り食堂で弁当を食べる。
犬神「しょうが焼き美味しか?」
里見「美味し、食べたら犬坂先生んとこ行く」
犬神「うん、じゃあ一緒に行く、コーシーのみゅか?」
里見は食べながら頷いた。
犬神はコーヒーを二人分淹れた。
犬神「令和の剣で人斬ったん?」
里見は食べながら頷いた。
なぜ知っているかは聞かなくてもわかる。
狛ちゃんソフトで見たのだろう。
人工知能の狛ちゃんがスマホを所持している犬士の動向を観察して人間らしさを日々学習している。
里見は自分のスマホで狛ちゃんを常時アクティブにしている。
令和の剣起動通知が犬神のスマホに飛んだのだ。
犬神「よちよち」
犬神は里見の頭をナデナテした。
コーヒーを立ち歩いて飲みながら窓(地下大阪城なのでモニター)の外を見る。
犬神『俺が里見ちゃんを守らねば』
誰からだろうか?宿命からか?
里見は食べ終わるとスマホの狛ちゃんアプリを開き、あのヤクザ男についてわかったことがないか見てみた。
◼️
職業はぼったくりバーの従業員。
借金を抱えさせた女にバーで売春をさせている。
売春女からも買春男からもぼったくる。
違法薬物も扱っている。
名を覚えるまでもない男、山田A太郎。
狛ちゃん命名ヤクザA。
以上がヤクザA山田A太郎のスマホからわかった情報である。
◼️
令和の剣が効いたならば、
ヤクザAは自首して悪事の全てを話す。
他の犯罪仲間の事も全て。正直に。
大阪府警はこれから、さぞ忙しくなる。
里見「とことんクズな奴だったんだな」
二人は乾杯とばかりにコーヒーを飲み干し、
食堂を出た。
◼️
犬坂は大型モニターにヤクザA山田A太郎の情報を表示して待っていた。
犬坂「お疲れ様です里見ちゃん」
里見「おはよう」
犬神「おはようございます」
犬坂「だいぶ悪い男を斬ったね、
他に何人か斬る予定はあるかな?」
里見「ない」
犬坂「もしよければ、令和の剣を使う相手を提案しようと思って、呼んだんです」
里見「使うな、って話じゃないのね」
犬坂「その剣を作ったのは私、里見ちゃんに預けたのも私、ですがどう使うかは里見ちゃんの自由です」
里見「そう、ありがと」
犬坂「良い子ちゃん効果が数日で切れれば、もっと使い勝手が良かったんだけど、申し訳ないね」
里見「いつか効果が切れるの?」
犬坂「わからない、効果が切れたか確認していないから」
里見「使う相手の提案って誰かしら?」
犬坂「それなんだけど最初に候補に挙げたのは、、」
そう言いつつモニターの画面を切り替えた。
犬坂「犯罪者、薬物中毒者、テロリストなどです、里見ちゃんはどれがいいですか?」
里見「うーん、どうせやるならテロリストに使うのが一番多くの人命を救えるかな」
犬坂「そうですか、では中東に行く準備を進めましょうか?」
里見「ちょっと待って、時間頂戴、退職手続きとかあるし」
犬坂「わかりました、対テロリスト作戦となると、犬士の装備を使わねば危険でしょう、犬神さんも同行願います」
犬神「了解」
犬坂「あと、日本に居る間にさっき言った犯罪者、中毒者とかを数人切ってもらいたいのですが、いいですか?」
里見「いいけど?」
犬坂「こちらも準備を始めますので、また連絡します、今日はもういいですよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます