【注5】始まりはいつも酒場から
異世界を舞台にしたハイファンタジーでは、舞台として「酒場」が登場しない作品を探す方が困難な印象があります。
酒場は、舞台装置としてとても便利な場所です。
補給や休息の提供場所としてはもちろん、主人公たちが帰る〈家〉のような存在にもなりえますし、物語の始まりのきっかけとなる事件が必ずと言っていいほど起こるのが特徴です。
ほとんどの酒場は宿泊所の役目も兼ねています。ほとんどの宿屋は良心的な存在ですが、時には宿泊客を夜な夜な襲って金品を奪ったり、奴隷証人に引き渡したり、あるいは殺してディナーにしてしまうといった、悪徳な宿も存在します。
高級でない酒場は多くの場合、ガラと歯並びの悪い常連客によって席を占領されている場合が多いです。
常連客たちは扉を開ける新参者の顔を一瞥し、ひそひそと言葉を交わします。その後、当然のように行われる乱闘に参加したり、逆に主人公たちを逃がしたりする役に回ったりするのもお約束でしょう。
酒場には当然のように隠し扉や抜け道が存在し、主人公たちを安全な街の外へと導いた展開をご覧になった方も多いでしょう。
現実世界の話ですが、昨今はコロナ禍で居酒屋に全く行けない方も多いのではないでしょうか。別に悪いことをしてるわけでもないのに、なんとなく居酒屋に行くのをはばかられる風潮がありますよね。
市区町からの要請で時間短縮営業や酒類の提供の自粛をしている現状もあり、なかなか友人や同僚を飲酒の機会に誘う勇気もなくなりがちです。
かくいう私も、もう一年以上居酒屋に足を踏み入れていません。何度か足を踏み入れたことのある居酒屋も数店が閉店してしまいました。
時たま、猛烈に居酒屋に行きたい衝動にかられます。家でももちろんお酒を飲むことはできますが、居酒屋には説明できないなにかしらの魅力があることは確かです。
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